2017 Fiscal Year Research-status Report
地震時におけるエレベータロープの自己給電式アクティブ振動制御
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16K18186
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
三浦 奈々子 京都工芸繊維大学, 機械工学系, 助教 (80735340)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | エレベータ / ロープスウェイ / 振動制御 / 地震応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度はエレベータロープの振動制御について、制御の側面からアプローチした。 ⑤かご室位置について:“地震動の特性ごとに適切なかご位置を抽出する”方向性から、“かご室位置の変化に逐次対応できる”ように設計方針を改めた。かご室位置を固定とせず可変とした場合について検討するために、各かご室位置でのロープの振動特性(固有振動数および振動形状)を明らかにした。 ⑥対象の物理的制約・エネルギ回生の制約の調査・⑦制御理論の構築・⑧検証解析について:制振装置の導入に関する制約条件を抽出し、制御力はコンペンシーブに加える張力とした。(A)ロープのモード応答に基づくフィードバック制御を提案し、制御性能について評価を行った。また、(B)エネルギについて一定張力入力と比較して大幅な削減ができ、かつ、低コスト化を考え、フィードバックする物理量をかご室の運動(かご室の位置と絶対加速度)のみに制限したコンペンロープの振動制御方法を提案した。 なお、⑤に対応するため、制御則を当初考えていた最適レギュレータから、システムの非線形性に対応できる制御則へ変更した。 ⑨エレベータの振動対策計画の立案について:平成29年度の検討で得られた成果のうち(A)についての成果を纏め、制御系の国際会議2017 Asian Control Conferenceで発表した(X. T. Nguyen, N. Miura, and A. Sone: Analysis and Control of Compensation Rope Response in Elevator System with Time-Varying Length, Proceedings of the 2017 Asian Control Conference, pp. 905-910, 2017.12.18, Australia)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
制御の方向性を2分化し、(A)制御の高性能化および(B)省エネルギと低コスト化の2種類の検討を進めた。(B)について、当初はアクチュエータの使用エネルギの面での検討のみを対象としていたが、センサ類の削減も検討対象とし、一定の成果を得た。一方で、エネルギの検討のうち、収支に関する部分がまだ十分といえないため、平成30年度に引き続き行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である平成30年度は、エレベータロープの振動制御を構造と制御の両面からアプローチする。 ⑩かご室位置のパターンの分類・⑪制御理論の拡張・⑫検証解析について:“⑤により最適とされた場所にかご室を移動する時間がない場合を想定し、制御理論を拡張する。制御の切り替えには可変ゲインを考えているが安定性の問題が生じた場合には制御則を変更するものとする。”としていたが、平成29年度の検討で制御理論の変更を既に行っている。そのため、平成30年度は主に、既に地震が発生し、大きくロープが振動している条件を起点とする場合等、かご室位置と初期条件での分類から始めるものとする。 ⑬エレベータの振動対策計画の立案(パッシブで応答が最小となるかご位置以外の場合)について:⑤の変更に対応した平成30年度の検討で得られた成果を纏め、発表する。 ⑭総括:平成28~30年度の総括として、超高層建物における避難にエレベータを活用するための技術提案を纏める。
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