2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K18187
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鈴木 卓 大阪大学, 工学研究科, 助教 (20738710)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 合成構造 / 静的載荷実験 / 縦開口 / せん断耐力 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は,開口高さを変数としたCES造有開口耐震壁の静的載荷実験を実施し,最大耐力,破壊性状および梁鉄骨と壁横筋の応力分布等を検討した。併せて,縦開口を有するCES造耐震壁のせん断終局強度評価法の評価精度を示した。 試験体は,中高層壁フレーム建築物における連層耐震壁の下部2.2層を想定した実大の約1/3スケールのものである。実験変数は開口高さを選択した。試験体CWO6の開口形状は250×650mmとし,開口低減率r3で表すと0.58となる。 当該試験体では、R=1/1600radの載荷サイクルにおいて1 層から3 層の開口隅角部付近の壁板および梁にひび割れが発生した。R=1/800radの載荷サイクルでは,2 層の壁板および梁にせん断ひび割れが発生した。R=1/100radの載荷サイクルでは,2層梁中央においてせん断ひび割れの拡幅が顕著となり,さらに1 層開口脚部付近および2 層開口頂部付近の壁板においてコンクリートに圧壊の兆候が認められた。R=1/67radの載荷サイクルでは,圧縮側壁板の1 層から2 層にかけてせん断破壊が発生した。 曲げ終局強度はSRC規準式に示される略算式に従い算定した。せん断終局強度は研究代表者の提案した修正ストラット式を用いて算定した。修正ストラット式は,開口両側の側柱を含む壁板に開口の形状および位置の影響を考慮した圧縮応力場を仮定するものとなっており,圧縮側柱側では開口上端から壁板下端までを,引張側柱側では壁板上端から開口下端までを圧縮応力場が形成される領域としている。また,圧縮側柱側の壁厚は柱厚を考慮した有効壁厚として計算している。実験結果および修正ストラット式による計算結果の比率は試験体CWO6では1.06となり,修正ストラット式による計算結果は実験結果を精度良く評価できるといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の研究計画は、代表者の提案する修正ストラット式において評価精度が最も低いと予測された縦長開口を有するCES造耐震壁の構造実験を実施し、当該壁試験体の最大耐力および修正ストラット式の計算結果を比較検討することである。 実験結果から、縦長開口を有するCES造耐震壁では,従来のRC耐震壁で弱点になると考えられている上下層の開口に挟まれた境界梁が1/100radまで耐力低下が生じず、高い耐震性能を有する傾向が示された。さらに当該耐震壁のせん断終局強度は提案する修正ストラットにより高い精度で評価できることを示した。これらの研究成果はコンクリート工学年次論文集(査読付き)に投稿中となっており、概ね当初の予定どおりの進捗状況となっている。 以上のことから、研究の進捗状況は概ね順調なものと考えている
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は昨年度に実験を実施した縦長開口を有するCES造耐震壁を対象とした三次元FEM解析を実施し,当該部材のせん断伝達機構の検討を行う。併せて、開口高さを変数としたパラメトリック解析も実施し、提案した修正ストラット式の評価精度の検討を実施する。これらの研究結果は日本建築学会の構造系論文集への投稿を目指している。 また、研究代表者がこれまでに実施したCES造有開口耐震壁の6体の試験体を対象としたフレーム解析も別途実施する予定である。
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