2018 Fiscal Year Research-status Report
接着系あと施工アンカーの破壊進行メカニズムの解明と引抜き耐力算定式の提案
Project/Area Number |
16K18189
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
佐藤 あゆみ 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 助教 (60644995)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 接着系あと施工アンカー / 超高強度繊維補強コンクリート / 破壊進行メカニズム / 耐力算定 / 有限要素解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、引張力を受ける接着系あと施工アンカーの破壊進行メカニズムを解明し、それに基づいた力学的合理性を有する接着系あと施工アンカーの引抜き耐力算定式を提案することを目的にしている。 本年度は、昨年度行ったセメント系接着材を用いた接着系あと施工アンカーの引抜き試験結果について有限要素解析を実施し、実験結果との比較から接着系あと施工アンカーの破壊進行メカニズムについて解析的検討を行った。解析パラメータは埋込深さ、アンカーボルトと接着材間および接着材と母材コンクリート間のインターフェイス要素の付着構成則とした。 その結果として、アンカーボルトと接着材間の最大せん断応力は埋込底部で生じており、引抜き時の最大荷重に達する前に埋込み底部でアンカーボルトの剥離が発生し、その後、コンクリート母材の上部でコーン状破壊が発生することが分かった。また、アンカーボルトと接着材間のインターフェイスを完全付着としてモデル化した場合、本解析の母材コンクリート強度(圧縮強度37.1 N/mm^2)であれば、実験結果に対して1.5倍の引抜き耐力を生じる可能性があると予測された。したがって、アンカーボルトと接着材間の付着特性を改善することは、セメント系接着材を用いた接着系あと施工アンカーの引抜き耐力を向上させるために非常に重要であることが解析的に明らかになった。 以上より、本研究の目的である接着系あと施工アンカーの破壊進行メカニズムを解明と、接着系あと施工アンカーの引抜き耐力算定式の提案に資する有意義な結果が得られたものと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年10月より平成31年3月まで産休および育休を取得したため、当該年度は半年間の研究期間であった。当初の平成30年度研究実施計画の記載では、実大コンクリート版を作製し、接着系あと施工アンカーの引抜き試験を行う予定であったが、これについては実施出来ていない。研究計画に記載した有限要素解析は予定通り進んでいる。なお、1年間の研究期間の延長を申請しており、当初の研究計画の遂行は十分可能であると思われる。また、本研究の研究成果の一部については、査読付き国際論文誌に1編が掲載され、研究成果の達成度も概ね満足できるものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度(令和元年度)は、異形鉄筋の付着特性の評価方法を参考にアンカーボルトの付着試験を行い、定量的に接着面の付着応力、すべり量および埋込深さ方向の付着応力分布を確認し、有限要素解析の構成則を再検討する。さらに、接着系あと施工アンカーの引抜き破壊進行の過程で生じる内部応力をマクロモデルで近似する。マクロモデルを基にして、本研究の最終目的である力学的合理性を有する接着系アンカーの引抜き耐力算定式を提案する。本研究の総括として、提案した引抜き耐力算定式の有効性と適用範囲を確認するために、実大コンクリート版(2000×4000×300mm予定)を作製し、接着系あと施工アンカーの引抜き試験を行う予定である。
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Causes of Carryover |
平成30年10月より平成31年3月まで産休および育休を取得し、当該年度は半年間の研究期間であったため。
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Research Products
(2 results)