2017 Fiscal Year Research-status Report
建築材料への接触が脳活動・自律神経活動に及ぼす影響に関する研究
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16K18200
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Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
池井 晴美 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 任期付研究員 (90760520)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 人間生活環境 / 居住性 / 生理人類学 / 木質環境学 |
Outline of Annual Research Achievements |
木材は経験的に手触り・足触りの良い建材として知られているが、木材への接触がもたらす生理的影響について、脳活動・自律神経活動を用いて明らかにした報告は存在しない。本研究においては、木材を含めた種々の建築材料への手掌・足裏接触時の生理応答について、前頭前野近赤外分光法および心拍変動性を用いて明らかにすることを目的とした。 平成29年度は、ヒノキ材への足裏接触が生理応答に及ぼす影響について、建築材料の一つである大理石との比較により明らかにした。被験者は成人女子大学生21名(平均21.1歳)とし、人工気候室内にて行った。脳活動の指標として、近赤外時間分解分光法を用い、左右前頭前野における酸素化ヘモグロビン濃度を計測した。自律神経活動の指標として、心拍変動性を用い、リラックス時に高まる副交感神経活動の指標として高周波成分(HF)、ストレス時に高まる交感神経活動の指標として低周波成分(LF)と高周波成分の比(LF/HF)を算出した。試料はヒノキ無塗装浮造り材(600×600 mm)とし、対照は同サイズの大理石とした。その結果、ヒノキへの90秒間の足裏接触は、大理石と比較し、1)左右前頭前野酸素化ヘモグロビン濃度が有意に低下すること、2)副交感神経活動の指標であるln(HF)が有意に上昇すること、3)交感神経活動の指標であるln(LF/HF)が有意に低下することが示された。結論として、ヒノキへの足裏接触は、脳前頭前野活動の鎮静化、副交感神経活動の亢進、交感神経活動の抑制をもたらし、生体を生理的にリラックスさせることが明らかとなった。 また、前年度に実施した手掌接触実験において得られた研究成果は、学術論文として取りまとめ、Int J Environ Res Public Healthに2報、日本木材学会誌英文誌J Wood Sciに1報掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度においては、以下の研究を実施した。 (1)足裏接触が脳活動・自律神経活動に及ぼす影響 手掌実験と同じ素材を用いて、足裏接触が生理応答にもたらす影響を明らかにした。20代の女子大学生を被験者とし、温湿度・照度を一定にした人工気候室内にて行った。閉眼座位にて安静状態をとった後、昇降機にて材を迫り上げ、90秒間足裏接触させた。本実験は被験者実験であるため、国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所および千葉大学環境健康フィールド科学センター倫理審査委員会の承認に基づいて実施した。被験者に対して研究の目的およびその必要性を文書ならびに口頭で説明し、十分理解を得た上で自由意思に基づく文書による同意を得た。 平成29年度の計画においては、ヒノキ材への足裏接触が生理応答に及ぼす影響について、予定通りに研究を遂行し、「研究実績の概要」に記した成果を得た。さらに、前年度に実施した手掌接触実験について学術論文として取りまとめた。本成果は、これまでにない新たな知見である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度および平成29年度に得られた結果を基にして、最終年である平成30年度においては、以下の研究を実施する。 (1)手掌能動接触が脳活動・自律神経活動に及ぼす影響 手掌実験と同じ素材を用いて、手掌能動接触が生理応答にもたらす影響を明らかにする。20代の大学生20名程度を被験者とし、温湿度・照度を一定にした人工気候室内にて行う。閉眼座位にて安静状態をとった後、実験者の合図を受け前腕を移動し、60秒間程度手掌能動接触させる。成果はインパクトファクター雑誌に掲載する。本実験は被験者実験であるため、国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所および千葉大学環境健康フィールド科学センター倫理審査委員会の承認の基、被験者に対して研究の目的およびその必要性を文書ならびに口頭で説明し、十分理解を得た上で自由意思に基づく文書による同意を得てから実施する。
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Causes of Carryover |
論文掲載費を予算に計上していたが、その費用が不要となったため、次年度使用額が生じた。次年度の論文掲載関連費として使用する予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Presentation] Nature Therapy2018
Author(s)
Ikei Harumi、Song Chorong、Miyazaki Yoshifumi
Organizer
Chiba University-Mahidol University Joint Symposium
Int'l Joint Research / Invited
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