2017 Fiscal Year Research-status Report
景観保全の視点から捉えたNIMBY施設に対する土地利用・景観規制の全国的実態
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16K18206
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
松井 大輔 新潟大学, 自然科学系, 助教 (80709816)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | NIMBY施設 / 景観計画 / 景観紛争 / 土地利用規制 / パチンコ店 / 結婚式場 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、景観保全の視点から見たNIMBY(Not In My Back Yard)施設に関わる、(1)建築紛争の全国的実態と(2)合意形成過程、(3)土地利用規制の全国的実態と(4)景観規制の全国的実態を明らかにし、(5)景観的NIMNY施設に対する都市計画規制の計画的課題を抽出することを目的とする。景観的NIMBY施設に該当し得る対象として、各地で立地に関わる紛争の要因となっているパチンコ店と結婚式場を例に挙げ、研究を行なっている。平成29年度の研究成果は以下の通りである。 目的(1)(2):景観的NIMBY施設に関わる建築紛争の全国的実態と合意形成過程については、平成28年度は主にパチンコ店の立地による事例を調査したため、平成29年度は結婚式場の立地による事例を中心に調査を実施した。具体的には、横浜(みなとみらい)・名古屋(主税町)・新潟(萬代橋周辺)における結婚式場の立地を要因とした紛争について、資料収集や現地視察を実施した。 目的(3)(4):平成28年度に行なった地方自治体の自主条例によるパチンコ店の立地規制に関わる全国調査の結果を、日本都市計画学会の学術講演会で発表した。この調査成果により、中核市以上の規模の都市では条例策定が京阪神都市圏に集中する事実が明らかとなり、これ以下の規模の都市を、全国で網羅的に調べても有効な結論を見出せないと考えたため、特別用途地区へと研究対象を移行した。現在、各都市の特別用途地区におけるパチンコ店の立地規制について情報収集を行なっている。また、結婚式場に関しても、結婚式場施設とその周辺地区の地区指定についての情報収集を行なってきた。 このほか、結婚式場施設におけるイメージ建築の実態を明らかにするため、全国の結婚式場施設に関する建築情報の収集を行った。この成果を分類し、周辺地区との関係性を分析する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度にやや遅れが生じた結婚式場施設に関する調査については、名古屋の事例調査など積極的に進めることができた。結婚式場の立地に関する調査分析も順調に進められている。一方で、パチンコ店の立地に関しては、平成28年度に当初の計画以上に研究が進捗した。引き続き、平成29年度も特別用途地区の情報収集ができたほか、研究成果を発表することができ、そこで得られる知見も多かった。 以上より、目的ごとに進捗のばらつきはあるが、総合的に捉えて研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度が当該研究計画の最終年度となるため、目的(5)景観的NIMNY施設に対する都市計画規制の計画的課題抽出に向けてこれまでの研究成果をまとめていきたい。 また、パチンコ店の立地規制に関しては、地方自治体が実施する立地規制のうち、自主条例よりも法的拘束力の強い特別用途地区に焦点を当てて分析をする。これと並行して景観規制についても整理し、パチンコ店の立地規制について現状をまとめる。 もう一つの大テーマである結婚式場施設に対する立地規制等については、結婚式場施設のデザイン類型と分析を連動させ、結婚式場施設が建つ敷地周辺の立地規制・景観規制に焦点を当てて分析する。過去二年間の調査によって十分な資料整理はできており、これをもとに分析を進めることができる。
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Causes of Carryover |
(理由)物品費を予算よりも節約できたため。また、調査から得られる情報の多い事例に限定したことで、旅費を節約することができたため。以上の二点より、次年度使用額が生じたと考える。
(使用計画)平成30年度は、パチンコ店・結婚式場施設の立地規制を同時進行で調査を行う。したがって、調査の回数が増加すると考えられ、そのための旅費の補填としたい。
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