2016 Fiscal Year Research-status Report
先駆的実践にみるユニット型児童養護施設の共用空間活用モデル
Project/Area Number |
16K18209
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
石垣 文 広島大学, 工学研究院, 助教 (60508349)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 施設計画 / 児童養護施設 / ユニット型 / 共用空間 / 環境評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は、共用空間の意義と活用の方策を捉えるために、分棟型と集約型の二つのユニット型児童養護施設を事例対象に、空間構成の特性を明らかにし、そこで生活・養育を送る子どもと職員による空間認識の様態とその評価を調査することを通じて、各空間要素への要求と課題を把握し、共用空間に求められる機能を検討した。主な結果を以下にまとめる。1)生活環境の評価構造を捉えたが、両施設ともにユニットエリアに対しては子どもの居場所やメンバー間のコミュニケーションの場としての認識が強く、子どもと職員が個別に話をする場との認識は薄い、また管理エリアの職員室に個別対応の場との認識が強く現れていることがわかった。2)分棟型と集約型の施設では、共用空間のうち管理・共用・連結エリアとユニットエリアの利用や位置づけに違いがあることがわかった。分棟型施設では、ユニットエリアが生活・養育の中心とされ、その補完的な要素として管理・共用・連結エリアがあるのに対し、集約型施設では管理・共用・連結エリアの使用頻度が分棟型に比べて多く、ユニットに対してほとんど同価に管理・共用・連結エリアが位置づけられていると考えられる。3)管理・共用・連結エリアのもつ課題の検討を通じて、共用空間に求められる機能として四つを捉えた。それは、①ユニット内で実現しにくい行為を受け止める機能、②子どもの居場所や関わる人の多様性を担保する機能、③ユニットの生活・養育を一時的に拡張する機能、④職員の連携体制をうまく形成するための機能である。4)3)の機能を高めるためにデザインの側面からの検討を行い、共用エリアの境界のつくりかた、各機能空間の連結のさせ方といった点に課題があることが見えてきている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年目に計画していた生活環境の評価を一年目に実施できたことに加え、共用空間の活用に関する検討に着手することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は以下の項目を実施する。 1)共用空間とユニット空間の連結の度合いがより低い施設型について検討し、平成28年度と同様の事例調査を行う。 2)1)と平成28年度の結果を総合的に考察してユニット型児童養護施設の共用空間活用モデルを構築する。
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Research Products
(1 results)