2016 Fiscal Year Research-status Report
社会発展の中での歴史的都市空間の保全-許容される変化の質と程度に着目して-
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16K18211
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
藤岡 麻理子 横浜市立大学, グローバル都市協力研究センター, 特任助教 (40724539)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 都市保全 / 歴史地区 / ハノイ / バンコク / 社会変化 / 変化の許容 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、ベトナム・ハノイ市旧市街とタイ・バンコク市歴史地区を対象に調査を行った。 ①ハノイ旧市街:2014年から進められているHang Duong通りの保全プロジェクトを調査の中心テーマとして、ヒアリングと現地踏査を行った。ヒアリングは、コミュニティ・アーキテクトとハノイ建設大学の教員4名とのディスカッション形式で行った。ハノイでは地区保全のために活動する確立された市民団体や専門家組織は見られないものの、国外諸都市とは異なる形で民間専門家、大学、行政、および国外研究者が協働している等、新たな知見を得ることができた。また、建物よりも伝統的営みや人間にフォーカスしたプロジェクトとして、地元の人々のインタビュー音声を利用したエキシビションを考えている等、この地域としては新しい試みが計画されていることも把握した。さらに、コミュニティ・アーキテクト同行のもと、地区内の一部地区を踏査することで、建物のファサード保存の考え方や中国式建築の修復技術者の不在など、旧市街の保全に関する課題と考えられる点を認識することができた。 ②バンコク歴史地区:1990年代に地域コミュニティの強制移転を前提とするマスタープランが作成され、それに対応する形で保全プロジェクトが行われているターティエン地区を主たる対象地区として、調査を行った。土地所有者、コミュニティ、専門家といった異なる立場の組織・個人に対し、ヒアリングを行い、社会変化や観光増進に伴い、地域を訪れる人々や地元住民・商業者の意識がどのように変化し、その変化がどのように対応されようとしているかを把握した。 今後、調査結果をまとめ、論文として発表する準備を進めていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、ハノイとネパールのバクタプル市の2都市を調査対象地として予定していたところ、ネパールの復興の状況を鑑み、代わりに、バンコクを2つめの調査対象地とするという変更はあったものの、順調に2都市の調査を終えることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
・平成29年度も、現地調査をアジアの2都市で実施する。 ・事例調査で得られる知見を踏まえ、歴史的都市空間の保全に関する国際原則・理念の再検討を進める。合わせて、国や地域レベルでの原則・理念の収集を進める。 ・調査に基づく論文の執筆、投稿を精力的に行い、地域への還元を図る。
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Causes of Carryover |
・調査対象地変更により、旅費・交通費が予定より小額になったため ・人件費、謝金が不要になったため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
・調査旅費、翻訳・通訳等のための人件費・謝金に充てる
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