2018 Fiscal Year Research-status Report
外出行動分析からみたシニア世代の減災ポテンシャルと都市の災害耐性
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16K18215
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
丹羽 由佳理 東京都市大学, 環境学部, 准教授 (80586751)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 外出行動 / 移動手段 / アクセシビリティ / 避難場所 / 立ち寄り場所 |
Outline of Annual Research Achievements |
少子高齢化の進む我が国において,災害時における自助・共助の重要性が高まっている.シニアの身体能力や地形条件等による歩行負荷を考慮することは,自助・共助の力を高めることにつながると考えられる.2018年度は,本研究計画に従い,ステップ4について研究を進めた.以下に,研究実績の概要について示す. ステップ4 「都市の災害耐性分布の可視化」 では,シニアの歩行負荷を考慮した避難所へのアクセシビリティの評価を行った.具体的には,(1)歩行調査:自宅から避難場所までの経路を対象にシニアが障害と感じる経路上のバリアを明らかにする,(2)ネットワーク解析:シニアにとってアクセシビリティの低い避難場所を明らかにし避難圏域の妥当性を評価する,という2つの目的を掲げた. 歩行調査では,シルバー人材センター協力のもと,自宅から近い二つの避難場所へ歩行してもらった.「指定されている避難場所」と「指定されていないが自宅から近い避難場所」を歩行してもらうことにより,二つの経路を比較した.多くの歩行者は,自宅から避難場所への経路上にある「坂」,「幅員」,「階段」等をバリアとして感じていることがわかった. ネットワーク解析では,シニアが感じる身体的負荷を定量化するために,既存研究で示されている「代謝的換算距離」を用いて,アクセリビリティの評価を行った.到達圏解析やネットワークボロノイから,シニアにとってアクセシビリティの低い避難所の存在が確認された.避難場所周辺の地形状況,避難が近接していることは,アクセシビリティに影響を及ぼすことがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ステップ5「シニア世代の減災ポテンシャルの定量的評価」に向けて,多角的な視点から調査分析を行うことができている.これまでに実施した アンケート調査や,歩行調査の結果を踏まえ,都市の災害耐性分布の可視化,シニア世代の減災ポテンシャルの定量的評価を行う予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,ステップ4 「都市の災害耐性分布の可視化」 とステップ5「シニア世代の減災ポテンシャルの定量的評価」をまとめる.これまでの分析結果をふまえ,4つの指標(指標1.生活範囲と防災拠点との関係、 指標2.地域の防災拠点・避難所に関する知識・利用率、指標3.体力・技能、指標4.防災意識)を用いて,都市の災害耐性分布の可視化・シニア世代の減災ポテンシャルの定量的評価を行う.最終年度として,ステップ1から5までを整理し,ステップ6 「都市の災害耐性分布マップの妥当性検証」を行い,研究のとりまとめを行う.
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Causes of Carryover |
同年4月に研究代表者の研究拠点が移ったことにより,研究環境の構築に時間を要し,ステップ6の検証が延期された.2019年 度は,ステップ6を行い,本研究をとりまとめる.
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