2019 Fiscal Year Annual Research Report
Disaster mitigation potential of the elderly and disaster resilience of cities viewed from outing behavior analysis
Project/Area Number |
16K18215
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
丹羽 由佳理 東京都市大学, 環境学部, 准教授 (80586751)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 外出行動 / 移動手段 / アクセシビリティ / 避難場所 / 立ち寄り場所 / 減災 / アンケート / 高齢者 |
Outline of Annual Research Achievements |
ステップ5「シニア世代の減災ポテンシャルの定量的評価」では,都市の災害耐性分布の可視化,シニア世代の減災ポテンシャルの定量的評価を行った.これまでに実施した複数回のアンケート調査,歩行調査,ネットワーク解析を踏まえて,シニアの外出行動や避難意識を丁寧に汲み取った. 2019年10月12日には,台風第19号が関東地方に接近・上陸し,世田谷区内では二子玉川駅付近の無堤防箇所から多摩川の溢水による氾濫が生じた.そこで台風第19号接近時の世田谷区在住者を対象として247名にアンケート調査を行い,高齢者の避難行動とそれを促す要因分析を行った. 危険性の低い状況と危険性の高い状況を対象に,高齢者の意識と避難行動の関係について共分散構造分析を行った結果,どちらの状況であっても「危機感」,「事前準備」,「避難後の不安」が避難行動に影響を及ぼすことが分かった.危険性の低い状況においては,3つの因子が同程度に避難行動に影響を及ぼすが,危険性の高い状況においては,「避難後の不安」が最も影響する.避難後の不安を感じない人は避難行動を起こしやすく,災害に関する「知識」をもった人は,深刻さを理解できているために,避難しやすいことが明らかとなった. 高齢者の身の安全を確保するためには,危険性の低い状況から各人が避難を想定し,初動時に避難行動を促すことが重要である.すでにさまざまな自治体で高齢者に対する防災啓発活動が行われているが,本研究で明らかとなった「避難後の不安」を解消し,「知識」に関する情報提供を強化することにより,効果的な減災に役立てられると思われる.
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