2017 Fiscal Year Research-status Report
三陸沿岸の都市的集落における災害復興史研究‐新たな復興モデルの構築に向けて‐
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16K18218
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡村 健太郎 東京大学, 生産技術研究所, 助教 (50737088)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 東日本大震災 / 昭和三陸津波 / チリ地震津波 / 復興 / 災害 / 津波 / 三陸 |
Outline of Annual Research Achievements |
近代日本における災害復興の歴史は、時代が下るにつれ、被災者による自助および地域共同体による共助から、為政者による公助へと移行する過程である。そして、公助による復興は、被災地の基盤整備と一体化し次第に肥大化していく傾向にある。その結果、現在進行形の東日本大震災後の復興では、計画規模の巨大化および復興の長期化が大きな問題となっている。そこで、本研究では、都市的集積のある大規模な都市的集落を対象とし、昭和三陸津波後の復興の実態およびチリ地震後の復興を中心とする戦後の変容を明らかにする。さらに、それらを踏まえて東日本大震災後の復興の問題点を整理したうえで、今後の成熟社会での災害発生時におけるコンパクトな復興モデルを構築することを目的としている。 初年度調査では、分析対象として設定した7つの都市的集落における復興計画とその実施状況を把握したうえで前述の二つの類型が妥当であるかを確認し、さらに田老町について、地図資料等をもとに具体的な復興プロセスについて資料分析を進めた。また、チリ地震津波後の復興についても同様に、資料収集およびその分析を行った。 二年目の2017年度においては、岩手県上閉伊郡大槌町の町方地区を対象とし、昭和三陸津波後の都市的集落の復興計画の立案およびその実施状況に関する事例調査を実施した。また、チリ地震津波に関し、岩手県大船渡市の大船渡地区を対象と史、行政文書および地籍図、旧土地台帳等の文献調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昭和三陸津波後の大槌町町方地区の復興および、チリ地震津波後の大船渡市の復興に関し、それぞれ文献資料や行政資料等の収集を行った。必ずしも想定していたすべての資料を収集できたわけではないが、現時点で収集可能なものについては入手できたと考えており、概ね計画どおりに進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後については、昭和三陸津波の都市的集落の三つ目の事例として山田町を対象とし、資料収集を行うとともに、これまで収集・分析した事例と合わせて比較・検討し、昭和三陸津波後の都市的集落の復興の全体像を把握する。また、東日本大震災後の復興に関する資料収集および情報整理を行う。 さらに、次年度の事例調査に向けた準備を行い、本研究の対象である7つの都市的集落すべてにつき、文献調査に基づき東日本大震災後の復興計画およびその実施状況を確認する。それらを踏まえて、今後の成熟社会における災害発生時の新たな復興のありようを考察し、研究成果として取りまとめることを予定している。
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