2016 Fiscal Year Research-status Report
ガラス構造と内部応力を利用した結晶化ガラスエンジニアリングの構築
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16K18233
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
篠崎 健二 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 無機機能材料研究部門, 研究員 (10723489)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 結晶化ガラス / 応力誘起 / 格子欠陥 |
Outline of Annual Research Achievements |
結晶化に伴い誘起される巨大応力とガラス構造を利用した新規結晶化ガラス開発に関し、以下の成果が得られた。 1) SrAl2O4となる組成のガラスをガス浮遊法によって合成し、熱処理結晶化を施した結果、結晶化の際に生じる応力によって安定相である単斜晶系ではなく、高温相の六方晶として得られることを提案した。Eu2+, Dy3+の共添加により緑色の強い発光を示し、さらに六方晶系において長残光特性の発現を初めて観察した。単斜晶系に比べ励起ピークが長波長シフトしており、可視光利用の観点などから高温相SrAl2O4の有用性を提案した。また、本申請課題の骨子となるガラス結晶化により生じる巨大応力場が結晶構造の設計に有効であることを提示した。 2)Y3Al5O12の系においても同様の方法でガラス結晶化を行った。X線回折により巨大な格子ひずみが観測され、また、Ceをドープしたとき、固相法などで得られる発光スペクトルに比べ10nm程度短波長シフトすることを明らかにした。ガラス結晶化法を利用することによる波長チューニングへの発展が期待され、ガラス結晶化法を利用した特性制御を提案した。 3)フッ化物は低粘度成分であることなどから酸フッ化物ガラスを熱処理すると通常フッ化物結晶が析出する。MgF2-BaO-B2O3このガラス系の構造を調査することで、Fの結合状態をフリーな状態ではなく架橋性にすることで、フッ化物結晶ではなくフッ化物結晶BaMgBO3Fが得られることを明らかにした。ガラス構造を設計することで、析出結晶相を制御できる可能性を示した。さらに、このガラスが極めて高い発光量子効率や深紫外透過性を示すことを明らかにした。ガラス結晶化の制御のみならず、革新的物性を示す新奇ガラス開発につながる成果であると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ガラスの結晶化に伴い生じる巨大応力や、ガラス構造を利用した新規結晶化ガラスの開発に成功し、計画通りに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度に合成に成功した結晶について、詳細な材料解析を行うとともに、より簡便な材料合成プロセスの構築を行う。
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Causes of Carryover |
共同研究先の国外大学への渡航を予定していたが、日程調整等の関係上次年度に持ち越しとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に上記目的での執行を予定する。
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