2016 Fiscal Year Research-status Report
界面構造制御による金属と炭素繊維強化樹脂の抵抗加熱接合特性改善と接合機構の解明
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16K18247
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
永塚 公彬 大阪大学, 接合科学研究所, 特任助教 (70720902)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 抵抗スポット溶接 / 表面改質 / 樹脂 / 炭素繊維強化熱可塑性樹脂 / 金属 / 異材接合 |
Outline of Annual Research Achievements |
シリーズ抵抗スポット溶接を用いてオーステナイト系ステンレス鋼SUS304と熱可塑性樹脂であるポリアミド6(PA6)、ならびにこれをマトリクス樹脂とする炭素繊維強化熱可塑性樹脂(CFRTP)(PA6 +20wt%炭素繊維)の異材接合を実施し、溶接電流を4から8kA、通電時間を200から600msと変化させて、入熱量が接合特性に及ぼす影響を検討した。 いずれの接合条件においても、SUS304と樹脂・CFRTPの接合が可能であり、継手の金属側には金属同士のスポット溶接の場合と同様のくぼみ(圧痕)が形成された。一部の継手では、くぼみ付近のSUS304に割れが認められたが、通電時間、電流を制御し入熱量を減少させることで、割れを防止することが可能であった。また、入熱量が大きい条件では、PA6の熱分解に起因すると考えられるPA6の変色部が認められた。接合界面に熱電対を挿入し、接合中の温度を計測した結果、入熱量を増加させることで、最高到達温度、樹脂の融点を上回っている時間、熱分解が生じる温度を上回っている時間は増加することを明らかにした。継手の断面組織観察を行った結果、くぼみ直下の領域にはボイド等が認められず連続的な接合部が形成されていた。これらはSUS304の酸化皮膜とPA6が接合することで接合されており、CFRTPの接合においても、マトリクスであるPA6が接合することで、SUS304とCFRTPの継手が形成された。継手の引張せん断試験を実施した結果、継手の引張せん断破断荷重は、接合電流および通電時間の増加に伴って増加した。これは入熱量が増加するに伴って接合面積が増加したことに起因すると考えられる。PA6を接合した継手とCFRPを接合した継手を比較すると、破断荷重はCFRPの継手の方が大きかった。 また、接合前の金属に対し、表面処理を施すことで、接合強度が増加することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
金属同士のシリーズ抵抗スポット溶接機を金属と樹脂・CFRTPの異材接合に適用することで研究を行っているが、これらの異材接合にあたっても、金属同士の接合の場合と同様の溶接電源を用いることで強固な接合可能であることが明らかになった。接合前の金属に表面処理を施し、異材接合界面の構造制御を行った結果は、湿式研磨やシランカップリング処理を検討したが、表面の化学状態を変化させるシランカップリング処理を施した場合において、強固な接合が可能であることを明らかにした。 材料の組み合わせとしては、まず樹脂・CFRTPとしては、計画の通りPA6およびPA6をマトリクスとするCFRTPについては概ね検討が終了し、ポリプロピレン(PP)やポリフェニレンサルファイド(PPS)等の接合の準備を行っている。金属としては、SUS304や低炭素鋼(SPCC)等の鉄鋼材料に加えて、次年度に向けて、アルミニウム合金、マグネシウム合金についても、シリーズ抵抗スポット溶接によって、下板の樹脂・CFRTPを溶融させる程度に加熱可能であることを確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度実施内容より、シリーズ抵抗スポット溶接によるオーステナイト系ステンレス鋼とPA6およびPA6をマトリクスとするCFRTPの接合が可能であることを示し、これらの異種材料間の接合メカニズムが明らかになりつつある。そこで平成29年度は、材料表面の化学状態を変化、ならびに金属表面に凹凸を形成することで接合強度を著しく向上させる表面処理手法の適用を行う。さらに、接合対象であるCFRTPとして、PPやPPS等の無極性樹脂をマトリクスとする短繊維強化型CFRTP、連続繊維(長繊維)強化型の熱可塑性CFRTP、熱硬化性樹脂をマトリクスとするCFRP等への適用を行う。 また、溶接時の入熱量によって金属/CFRTPの接合強度が変化することを明らかにしたが、これらの知見を基に電極形状の最適化を行い、樹脂・CFRPと電気抵抗が低いため、抵抗溶接が困難とされるアルミニウム合金等との異材接合への適用を行う。
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Research Products
(8 results)