2016 Fiscal Year Research-status Report
液相前駆体法を用いた金属ナノ粒子分散ZnOナノバルク熱電変換材料の創製
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16K18248
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
渡邊 厚介 九州大学, エネルギー基盤技術国際教育研究センター, 助教 (40617007)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 液相前駆体法 / 酸化物熱電変換材料 / ナノコンポジット / フォノン散乱 / ナノ構造制御 / 酸化亜鉛 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、金属ナノ粒子をZnO中に分散させたナノコンポジットを合成するため、原料粉末としてZnOナノ粒子と金属ナノ粒子を同時析出させたナノ粉末の合成手法を確立し、それらを用いた焼結体の基本的な構造評価と熱電特性の評価を実施した。 1)ZnO焼結体中のAg粒子の微小化と熱電特性 共沈法を用いて100 nm以下のAgナノ粒子とZnOナノ粒子の同時析出を可能にし、焼結体中に分散するAg粒子の粒径はμmオーダーからサブμmオーダーまで低減できた。Agの添加量に伴いZnOの導電率の増大は達成できたものの、有効的なフォノン散乱の効果は得られず熱伝導率の低減には至らなかった。そのため次年度では、分散するAgの粒径を低減するため、放電プラズマ焼結(SPS)法にてナノ粉末の粒径を保持できる条件を見出す。 2)Au/ZnO、Au/Al:ZnOナノコンポジットの合成と熱電特性 1)と並行して、液相前駆体法により3 nm以下のAuナノ粒子が担持したZnOナノ粉末の合成が可能となった。このナノ粉末を用いて焼結したZnOまたはAl:ZnOマトリックス中の金属Auの粒径は50~150 nmに成長していたものの、各マトリックス中にランダムに分散し、ナノコンポジットの形成が確認された。Au/ZnOとAu/Al;ZnOナノコンポジットともに1065 Kにおける熱伝導率はそれぞれ4.1、3.0 Wm-1K-1であり、ZnOと比べて約2分の1の低減に成功した。また、導電率はAu/ZnOではZnOの10倍以上、Au/Al:ZnOではさらに一桁向上し、Auナノ粒子の分散により熱電特性が向上する可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
金属ナノ粒子とZnOナノ粒子を同時析出させる方法論の確立は予定通り達成できた。一方、150 nm以下の金属Auナノ粒子を分散させたZnO焼結体の導電率の向上と熱伝導率の低減が同時に達成できただけではなく、AlドープZnOをマトリックスにしても同様の効果が得られたことは、当初の計画より進展している。また、新たに放電プラズマ焼結(SPS)装置が学内に導入されたため、焼結時に粒成長していたAgおよびAuナノ粒子のさらなる微小化が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
1)分散させるAuナノ粒子の粒径をさらに低減させるため、放電プラズマ焼結(SPS)法を用いて焼結条件を検討する。さらに分散させるAuの濃度に対する熱電特性について検討する。 2)導入するAuの形状違いが熱電特性に与える影響について検討する。 3)マトリックスをAlドープZnOへ変更し、熱電性能の向上を図る。 4)金属種として加熱時に粒成長しやすいAgについて、SPS法を用いて分散するAgの粒成長を抑制したAg/ZnOナノコンポジットを合成する。 5)金属種、濃度、粒径が熱電特性に与える影響について系統的に検討し、まとめる。
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Causes of Carryover |
共沈法で合成したナノ粉末は遠心分離機で回収するが、現状50mL×4本のローターしか所有しておらず、作業効率が著しく低い。そこで次年度ではナノ粉末回収の高効率化を図るため、250mL×4本のスイングローターを購入したい。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は予定通り試薬と物品、各種分析料、論文投稿費、旅費に使用し、加えて遠心分離機のスイングローターを購入する。
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Research Products
(10 results)