2016 Fiscal Year Research-status Report
主鎖にヘテロ原子を含まない高安定・高性能プロトン伝導性芳香族高分子に関する研究
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16K18258
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
三宅 純平 山梨大学, 総合研究部, 助教 (30581409)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 高分子合成 / 燃料電池 / 高分子電解質 / 膜 / プロトン伝導 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者はこれまでに、高分子主鎖にヘテロ原子を含まない分子設計指針により、芳香族系高分子電解質膜の諸物性が大きく向上することを見出している。本年度は、芳香族系高分子電解質膜の諸物性を更に向上させることを目的として、①疎水部構造、②イオン交換容量(IEC)、の効果について検討を行った。 ①に関しては、フェニレン基、アルキル基、パーフルオロアルキル基を高分子主鎖に含む芳香族系高分子電解質を合成し、これら構成成分が膜の諸物性に及ぼす影響を評価した。その結果、フェニレン基のみから成る電解質膜(SPP-QP)が最も高い化学安定性を示すとともに、他の電解質膜と同等以上の機械的安定性、ガスバリア性を示すことも明らかにした。 ②に関しては、①で最適化した疎水部構造を有する電解質膜(SPP-QP)について、IECが膜の諸物性に及ぼす影響を評価した。その結果、膜の高IEC化(2.4 → 3.0 meq/g)に伴いプロトン導電率は向上し、幅広い湿度範囲においてNafionを上回る値を示した。また、SPP-QP膜の高い化学安定性、機械的安定性は高IEC体(3.0 meq/g)においても認められ、加速劣化(フェントン)試験後も膜の重量、形状、機械強度、プロトン導電率などの諸物性は変化せず、極めて高い安定性を示した。さらに、開回路電圧(OCV)保持試験の結果、保持時間の経過とともにOCVはわずかに低下したものの、1000時間経過後においても高いOCVを維持した。以上の結果からSPP-QP膜は、燃料電池実作動条件においても非常に高い安定性を示すことが実証された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、安定性とプロトン導電性を両立する芳香族系高分子電解質膜の疎水部構成成分を明らかにし、この結果を基に分子構造を最適化することにより、プロトン導電性と安定性を飛躍的に向上させた電解質膜を開発することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は研究計画通り進展しているため、今後も当初の研究計画通り、以下について研究を推進する。 ①安定性とプロトン導電性を両立する親水部構成成分を明らかにする。 ②共に最適化した親疎水部構造を有する新型電解質膜を中心に燃料電池発電試験を行い、性能と耐久性に及ぼす親疎水部構成成分の効果を明らかにする。 ③これら評価項目を分子構造にフィードバックしながら改善を行うことで、本分子設計指針の可能性を検証する。
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Research Products
(16 results)