2017 Fiscal Year Annual Research Report
Study on corrosion inhibitors for steels
Project/Area Number |
16K18269
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
千葉 亜耶 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 構造材料研究拠点, 研究員 (70762954)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 鋼 / 耐食性 / 固溶窒素 / 固溶炭素 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の研究で、炭素鋼中に窒素を0.1 mass%固溶させると、炭素鋼がpH 6.0以上の環境(0.1 M Na2SO4水溶液)中でも不働態化し、耐食性が向上することを明らかにした。 今年度の研究では、鋼の溶解速度(耐食性)に及ぼす固溶炭素の影響に関して研究を行った。ステンレス鋼(FeにCrやNiを添加した合金)に関しては、炭素を固溶させるとその耐食性が向上することが知られている。そのメカニズムの一つとして、炭素を固溶させるとステンレス鋼表面に形成されるCrを含む不働態皮膜がより安定になることが報告されている。しかし、Crを含まない鋼(Fe)に及ぼす固溶炭素の影響に関しては不明な点が多い。そこで、固溶炭素量を0、0.3、0.6、0.8、1.1 mass%の5水準に変化させたFe-33Mn-C合金を作製し、アノード分極曲線を測定することでこの合金の溶解速度に及ぼす固溶炭素の影響を解析した。 固溶炭素量の少ないFe-33Mn-xC(x=0、0.3)合金はpH 12.0以下の0.1 M Na2SO4水溶液中で活性溶解したが、固溶炭素量の多いFe-33Mn-xC(x=0.6、0.8、1.1)合金はpH 12.0以上の0.1 M Na2SO4水溶液中で不働態化した。また、pH 10.0の0.1 M Na2SO4を添加したホウ酸緩衝液中では、固溶炭素量が多いほど溶解速度が抑制される結果が得られた。これらの結果から、固溶炭素量が多いほどFe-33Mn-C合金の耐食性が向上することが明らかである。 Fe-33Mn-C合金に炭素を固溶させると、FeおよびMnの内殻準位の結合エネルギーが高エネルギー側へ化学シフトするという結果が得られているため、固溶炭素は金属自体の特性を変化させる可能性が考えられる。
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Research Products
(4 results)