2016 Fiscal Year Research-status Report
Coチオシアン酸錯体のゲル化を利用した水溶液中Coの高効率濃縮回収プロセスの開発
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16K18271
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
白山 栄 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (70758416)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | コバルト / 湿式分離 / チオシアン酸 / ゲル / 反応エンタルピー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では新規Co回収プロセスの各工程について、その詳細を定量化してプロセスの成立性を確認し、具体的なプロセス条件を決定するための指針を得ることを目的とした研究を行っている。平成28年度は、Coゲル状化合物の生成工程に着目し、目的のCoの回収率を達成する上で重要な濃度条件や温度条件の調査を行った。研究計画(a)~(c)について、下記の成果を得た。
(a) <Coゲルの生成に関する平衡状態図の作成とゲル化条件の決定> 水溶液中のCo濃度、チオシアン酸イオン濃度、PEG濃度を変化させたゲル状化合物の生成実験を行い、ゲル状化合物および上澄み水溶液の組成分析によりゲル状化合物の組成をK2[Co(NCS)4] (PEG)0.25と決定した。さらに、5℃~50℃の温度範囲で、Co回収率の温度依存性についても調査を行い、任意のCoの回収率を達成するのに必要なSCN-およびPEGの濃度範囲、温度条件を明らかにした。 (b) <使用済みLIBに含まれる金属元素と、Coとの分離効率の定量化> 不純物元素としてLi, Mn, Ni, Fe, Cu, Znをとりあげ、Coとの混合水溶液についてゲル状化合物生成実験を行った。Li(+), Ni(2+), Mn(2+)およびFe(2+)についてはCoとの分離が可能であり、Zn(2+), Fe(3+)とCu(2+)はCoと同様にゲル状化合物あるいは不溶性のチオシアン酸塩を生成してCoと分離されないことを明らかにした。 (c) <ゲルの生成機構に関する考察およびその他のゲル化剤の検討> ゲル状化合物の生成反応式を仮定し、Co回収率の温度依存性より生成反応の見かけのエンタルピーを見積った。また、ゲル化剤としてPEGの代わりにTriton X-100についてもゲル状化合物生成実験を行い、比較した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実用化の観点から、目的のコバルト回収率を得るのに必要な濃度条件および温度条件について評価し、任意のコバルト回収率を得る条件を明らかにすることができた。不純物元素との分離特性、およびTriton X-100をゲル化剤として用いた場合の回収率の変化についても比較した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に沿って、以下の後工程に関する調査を進める。 <平成29年度> II. (溶媒抽出工程) SCN-およびPEGがCo溶媒抽出に与える影響調査 平衡実験による溶媒抽出におけるPEGの種々の有機溶媒相中への溶解量調査を行ったうえで、溶媒抽出工程におけるPEGの分配を調査する。このようにして評価した結果、PEGの分離に有効と考えられる溶媒抽出系において、Coの抽出曲線の作成および、McCabe-Thiele法による解析を行い、Coの抽出・逆抽出条件を決定する。さらに、SCN-およびPEGの共存がCo抽出挙動に与える影響を調査するとともに、SCN-およびPEGの有機溶媒相/水溶液相間における分配を調査し、Coとの分離係数を算出する。 <平成30年度> III. (Co電解採取工程) SCN-およびPEGがCoの電解採取に与える影響調査 SCN-、PEG、および溶媒抽出で用いる有機溶媒などの不純物の酸化還元反応を考慮し、これらの物質が溶存する水溶液中において、電気化学測定を行い、Coの電解採取条件で起こりうる副反応を特定する。さらに、分極曲線の取得より、不純物の共存がCoの還元反応および電流効率に与える影響を調査する。最終的にはプロセスの最終段階を模擬した条件として、不純物濃度を変化させた電解浴を用いて定電圧または定電流密度でCoの電解採取を行い、得られる金属Co中の不純物元素(O, C, N)を分析する。これにより、電解浴中の不純物の許容値を決定する。
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Causes of Carryover |
実験機器として、当該年度に購入を予定していたデジタルマルチメータ(約15万円)を選定中であり未使用であるが、計画外の温度制御装置(合計約25万円)の購入があったため、設備・消耗品については概ね計画通りの支出額である。旅費については他機関の助成を獲得できたこともあり、支出が抑えられた。また、その他の費用については、計画当初に試験期間への試験外注費を見込んでいたが、当該年度の研究成果から、試験外注なしでも充分に結果の妥当性評価が可能であることが分かったため、試験外注を行っていない。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
計画していたデジタルマルチメータの購入を平成29年度はじめに行う。機器および消耗品の購入が計画を上回る傾向にあり、また、来年度はすでに国内および国際会議への参加が計画されているため、これにあてる計画である。
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Research Products
(2 results)