2016 Fiscal Year Research-status Report
超臨界法によるナノDDSキャリア創製プロセス設計へ向けた薬剤吸着挙動の定量的把握
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16K18273
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宇敷 育男 東北大学, 環境科学研究科, JSPS特別研究員(PD) (30734850)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 薬剤 / ドラッグデリバリーシステム / 超臨界 / 担持 / 含浸 / 吸着 / メソポーラスシリカ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は,超臨界二酸化炭素法によるメソポーラスシリカへの薬剤の担持・吸着装置を開発した上で,モデル担体を最も汎用的に用いられているメソポーラスシリカであるMCM-41,モデル薬剤をドラッグデリバリーシステム(DDS)への応用が望まれている代表的な難溶性の非ステロイド性抗炎症物質であるイブプロフェンとして,本研究課題の目的である超臨界法によるナノDDSキャリア創製プロセスの設計へ向けた基礎的検討を行った.担持・吸着実験装置は,研究代表者らが既に報告している超臨界二酸化炭素中における金属錯体の回分式担持・吸着実験装置をベースに開発を行なった.開発した装置により,モデル担体をメソポーラスシリカMCM-41,モデル薬剤をイブプロフェンとして,温度333 K,圧力15.0 MPaの条件にて薬剤の担持実験を行なったところ,熱重量分析(TGA)による解析からイブプロフェンのメソポーラスシリカ細孔内への担持・吸着を示唆する結果が得られた.今後は,メソポーラスシリカ種及び薬剤種を変化させ,担体の細孔構造や比表面積及び薬剤物性が担持・吸着状態に与える影響についての詳細な検討や,他の分析手法(窒素吸着法及びSEM,TEM等)による多角的な実験結果の解析が必須であると考えている.また超臨界二酸化炭素中における薬剤の溶解度及び吸着特性の把握を行うことで,本プロセスの定量的な理解及び効率的な設計が可能になると予想される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り,超臨界法による薬剤担持・吸着装置の開発及びモデル担体及びモデル薬剤を用いた検討まで行うことが出来たため,概ね順調に進展していると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,研究実績の概要においても述べたとおり,担体種・薬剤種が担持・吸着状態に与える影響の評価を様々な分析手法を駆使して行うとともに,関連するバルク・局所物性の定量的な把握によるプロセス設計に向けた指針獲得を目指す計画である.
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Causes of Carryover |
実験装置の組み立てるための継ぎ手・バルブの価格が当初の想定よりも安かったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額については,薬剤や担体の等消耗品の購入に当てる計画である.
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