2016 Fiscal Year Research-status Report
高耐圧性イオン液体膜の開発とメタノール合成膜反応器への展開
Project/Area Number |
16K18278
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
廣田 雄一朗 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (60632437)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | イオン液体膜 / オルガノシリカ膜 / メタノール合成 / ガス・蒸気透過 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,膜反応器によるメタノール合成プロセスのメタノール収率向上と反応の低温低圧化を最終目標とし,優れた耐熱性と,アルコールや水蒸気に対し高い親和性を示すイオン液体を材料とした,「10 気圧以上の高い耐圧性」と「高いメタノールおよび水蒸気選択透過性」を両立する新規なイオン液体膜の開発に取り組んでいる. 平成28年度は,シリル化イオン液体の合成と,それを素材としたイオン液体の特性をもつオルガノシリカ膜(イオン液体オルガノシリカ膜)のナノポーラス支持体への製膜条件の検討を進めた. 既往研究を参考とし,イオン液体側鎖にシランアルコキシシドを有するシリル化イオン液体を有機合成した.また、NMRや質量分析により目的とするシリル化イオン液体高純度で得られていることを確認した.合成したイオン液体とメタノール,塩酸を混合した溶液に平均細孔径4nmのナノポーラスシリカ支持体を浸漬・加熱することでイオン液体オルガノシリカ膜を作製した.本合成法において、製膜溶液中のイオン液体濃度を変更した膜を作製し,メタノール/水素の二成分系での透過分離性能を評価した.最適な条件で作製した膜は,メタノール/水素分離係数8600以上という極めて高いメタノール選択性を示した.また,水素単独系での透過試験とメタノール/水素二成分系での透過分離試験の結果から,今回確認できた高いメタノール選択性は,イオン液体によりメタノールが選択的吸着と毛管凝縮現象によりメタノールが水素の透過を阻害するメカニズムであることが判った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標は,シリル化イオン液体の合成と再現性の高い製膜条件の確立であった.研究実績に記したように高いメタノール選択性を示すイオン液体オルガノシリカ膜の作製に成功した.
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Strategy for Future Research Activity |
現時点では,まだ耐圧性や透過分離能の温度依存性については評価できていないため,その評価を進め,より優れた性能を示す膜が得られるように製膜条件の最適化を進める.最適化に向けたヒントとして,シリル化イオン液体を重縮合したものにも流動性があり,液体としての特性を示すことが判ってきた.重縮合したシリル化イオン液体に水素は物理溶解しないため,ナノポーラス支持体の細孔を重縮合したシリル化イオン液体で埋めることができれば,水素の透過をより抑制することができ,膜性能の向上が期待できる.
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Research Products
(3 results)