2016 Fiscal Year Research-status Report
種々の印加電圧条件における電気泳動度の粒子径依存性の定量評価と湿式分級への応用
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16K18281
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
深澤 智典 広島大学, 工学研究院, 助教 (00589187)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 表面・界面物性 / 電気泳動 / 粉粒体操作 / 分級 / 化学工学 / ゼータ電位 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、サブミクロンから数ミクロン領域の粒子の電気泳動現象について、種々の印加電圧条件下に見られる電気泳動速度の粒子径依存性を実験により明らかにし、既往の電気泳動理論の補正・拡張を目指す。さらに、得られた知見を湿式分級に応用し、印加電圧を分級点の操作因子とした新規の高精度湿式分級法を提案する。これにより、学術上の発展のみならず、産業・社会へも貢献する。具体的な研究目的は、以下である。 A. モデル粒子を用いた種々の印加電圧条件における電気泳動速度の粒子径依存性の評価・解析 B. 試験用粉体を用いた種々の印加電圧条件における電気泳動速度の粒子径依存性の評価 C. 印加電圧を分級点の操作因子とした湿式分級の効率評価 平成28年度は、モデル粒子としてポリスチレンラテックス粒子を用い、粒子径、電解質濃度、電解質種、印加電圧強度のそれぞれが電気泳動移動度に及ぼす影響を、自作の顕微鏡電気泳動装置を用いた直接測定により評価した。特に、低印加電圧時における電気泳動移動度の顕著な低下を見出した。さらに、この電気泳動移動度の低下が、電解質種には依存せず、電解質濃度に影響を受ける事も示した。 あわせて、電気泳動現象を援用した湿式分級法の開発にも着手した。シリカ粉体を試料とし、回分式の逆電気泳動法と、連続式の直交電気泳動法の2つの分級手法を対象とし、粒子の電気泳動特性が分級性能に及ぼす影響を評価した。さらに、粒子の電気泳動速度を変化させる印加電圧強度、および電解質濃度が分級性能に及ぼす影響についても評価した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
モデル粒子を用いた種々の印加電圧条件における電気泳動速度の粒子径依存性の評価・解析についてはおおむね終了している。さらに、試験用粉体を用いた種々の印加電圧条件における電気泳動速度の粒子径依存性の評価および印加電圧を分級点の操作因子とした湿式分級の効率評価についても既に検討を始めており、計画通り順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
モデル粒子の表面荷電特性を電位差滴定装置により評価する。得られたモデル粒子の表面荷電特性と電気泳動特性の関係を整理し、電気泳動現象に関する既往理論の修正・拡張を試みる。 また、幅の広い粒子径分布を有する試験用粉体を用いて、重力沈降法により慎重に分級を行った後、各粒子径画分について、電気泳動特性の評価を行う。これにより、印加電圧と分級点の関係を定量的に明らかにする。 最後に、これまでに得られた詳細な実験・解析データを取りまとめ、印加電圧が電気泳動移動度の粒子径依存性に及ぼす影響を明らかにする。さらに、得られた知見を湿式分級操作に応用し、印加電圧を分級点の操作因子とした新規高精度湿式分級法を提案する。
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Causes of Carryover |
「電位差滴定装置」および周辺機器の試用・選定に時間を要したため、本年度中に予算を執行できなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
既に試用・選定の済んでいる「電位差滴定装置」および周辺機器を導入する。これにより、粒子の表面荷電特性の評価が可能となる。得られる粒子の表面荷電特性と電気泳動特性の関係を整理し、電気泳動現象に関する既往理論の修正・拡張を試みる。
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