2017 Fiscal Year Annual Research Report
Valuable chemicals production from each lignocellulosic biomass component via alkaline treatment
Project/Area Number |
16K18285
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村中 陽介 京都大学, 工学研究科, 助教 (40756243)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 木質バイオマス / マイクロリアクター / 成分分離 / アルカリ処理 / ヒドロキシメチルフルフラール / 乳酸 / リグニン樹脂 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の検討により、酸素添加アルカリ処理によるリグニン選択溶解が困難であると判断されたため、低温での高濃度アルカリ処理を検討した。30~90℃の低温アルカリ処理では、検討したNaOH濃度、反応時間において概ね20%程度の脱リグニン率を示した。一方、高温アルカリ処理とは異なり水熱処理を経由せずにスギに直接低温アルカリ処理を施した場合、脱リグニン率はほぼ0%を示し、スギの構造が緩和されていることが示唆された。スギ中に含有されるリグニンのように強固な構造を有するリグニンはアルカリを用いての選択的な溶解は容易ではなく、分離時のリグニンの変性やある程度のセルロースの溶出を完全抑制しながら分離することは困難であると考えられる。一方で、水熱処理によりスギの構造を緩和することは可能であり、触媒添加やアルカリ処理以外での手法などによる分離技術の発展が期待される。 回収リグニンの樹脂原料としての利用可能性を検討した。170℃程度の酸素アルカリ処理により得られたリグニンを示差走査熱量計により分析したところ、発熱はほぼ確認されず、そのまま樹脂の原料として使用することは困難であると判断された。この試料に関しては、樹脂原料として利用可能な有機溶媒抽出リグニン(オルガノソルブリグニン)との混合による利用可能性を検討した。結果、オルガノソルブリグニンに対して重量比で約20%まで混合しても製品性能を満たす樹脂原料として利用可能であることを明らかにした。一方で、250℃の高温アルカリ処理にて溶解したリグニンは発熱を示し、樹脂原料としての利用可能性が示された。
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