2016 Fiscal Year Research-status Report
合成生物学を指向したプロモーターデザイン技術のプラットフォーム
Project/Area Number |
16K18297
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
兒島 孝明 名古屋大学, 生命農学研究科, 講師 (40509080)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | Aspergillus oryzae / gSELEX-Seq / RNA-Seq / scCro-tag / promoter |
Outline of Annual Research Achievements |
1)A. oryzae次世代型育種法の構築: 糖代謝に関与する転写因子の一つ、AoXlnRを用いたgSELEX-Seqによりゲノム中における各転写因子結合部位の特定を試みた。gSELEX を3ラウンド実施後、フローサイトメトリーによるXlnR結合能の評価を行ったところ、各選択ラウンドにおける結合シグナルの増加を確認した。そこで各選択プールの配列を高速DNAシークエンサーによって解析し、得られた配列データを用いてバイオインフォマティクス解析を行い、その結合モチーフの抽出及び結合プロモーター配列の網羅的同定に成功した。今後、AoXlnR欠損株を用いた遺伝子発現解析データを照合することにより、AoXlnRにより直接的に発現制御される遺伝子を同定する。これにより麹菌におけるキシラン代謝機構の全貌解明が期待できる。 現在その他、菌核形成に関与する転写因子AO090009000520とAO090010000784のgSELEXを実施中である。 2) DNA結合タグscCroを用いたタンパク質の精密空間配置の評価とその応用: DNA結合タグであるscCro-tagの機能評価を行った。このscCroとその変異体(scCroM)及びこれらの各結合配列を用いてDNA上で2つの異なるタンパク質を空間的に配置し、biolayer interferometry(BLI)法によってこれを評価した。さらに、このDNA結合タグの応用例として、基質と共に同一DNA上に配置された酵素の活性をマイクロビーズ上で解析する手法を確立した。尚、本研究成果について化学工学会第82年会で研究発表を行った他、現在論文投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)A. oryzae次世代型育種法の構築: 糖代謝に関与する転写因子の一つ、AoXlnRを用いたgSELEX-Seqによりゲノム中における各転写因子結合部位の特定を試みた。gSELEX を3ラウンド実施後、フローサイトメトリーによるXlnR結合能の評価を行ったところ、各選択ラウンドにおける結合シグナルの増加を確認した。そこで各選択プールの配列を高速DNAシークエンサーによって解析し、得られた配列データを用いてバイオインフォマティクス解析を行った。その結果、XlnRの明瞭な結合モチーフが検出された。さらに、全遺伝子プロモーター領域を用いてXlnR結合プロモーター配列の網羅的同定を行った。同定プロモーターにはXlnRによる制御が確認されている遺伝子のプロモーター領域が多数確認された。尚、菌核形成に関与する転写因子AO090009000520とAO090010000784のgSELEXを現在実施中である。 2)DNA結合タグscCroを用いたタンパク質の精密空間配置の評価とその応用: プロモーター/RNA合成酵素共進化選別法(PROPOSE)の確立にあたり、その遺伝子型と表現型の対応付けにDNA結合タグであるscCro-tagを用いる。本系の構築に先立ち、このscCro-tagの機能評価を行った。このscCroとその変異体(scCroM)及びこれらの各結合配列を用いてDNA上で2つの異なるタンパク質を空間的に配置し、biolayer interferometry(BLI)法によってこれを評価した。さらに、このDNA結合タグの応用例として、基質と共に同一DNA上に配置された酵素の活性をマイクロビーズ上で解析する手法を確立した。尚、本研究成果について化学工学会第82年会で研究発表を行った他、現在論文投稿中である。 また、PROPOSE実施の為のDNAコンストラクトの調製は完了済である。
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Strategy for Future Research Activity |
1) A. oryzae次世代型育種法の構築: XlnR欠損株を用いたマイクロアレイによる全遺伝子発現プロファイルデータをgSELEX-Seqの結果と照合し、XlnRによって直接的に発現制御をうける遺伝子の同定を行い、A. oryzaeにおけるキシラン代謝機構の解明を試みる。また、菌核形成に関与する転写因子AO090009000520とAO090010000784のgSELEXを現在実施中であり、その他の転写因子についても順次gSELEXを実施予定である。 また、ゲノム編集技術であるCRISPR/Cas9システムをA. oryzaeに応用し、各転写因子の欠損株を作製する。これらを用いてRNA-Seqを実施し、各転写因子を用いたgSELEX-Seqの出力結果との網羅的照合を行う。これにより、A. oryzaeにおける転写制御ネットワークの全貌を明らかにする。 このネットワークの知見を基に、CRISPR/Cas9システムと組み合わせることにより、最終的には、高機能性麹菌の作出を試みる。 2) プロモーター/RNA合成酵素共進化選別法の確立 T7RNAポリメラーゼ及びその不活性型の遺伝子を含む発現コンストラクトを混合したモデルライブラリーを用い、PROPOSE確立を試みる。このシステムを用いてT7プロモーター、T7RNAポリメラーゼの共進化を試み、大腸菌異種タンパク質発現系効率化の為の新奇プロモーター/RNAポリメラーゼの創生を行う。
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Causes of Carryover |
消耗品使用量が当初の想定よりも低かった為。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後、消耗品使用量が一層増えることが予想される為、16,663円分に関しては、すべて消耗品購入に使用する。
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