2016 Fiscal Year Research-status Report
モノリス型ミクロ細孔の表面修飾と物質移動に基づいたタンパク質PEG化反応の加速化
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16K18301
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
吉本 則子 山口大学, 創成科学研究科, 助教 (40432736)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | monolith / PEGylation / chromatography |
Outline of Annual Research Achievements |
数μmの巨大貫通孔を有するモノリスカラムは、多孔性担体と比較して拡散抵抗が少なくタンパク質・核酸・ウイルス等の優れた分離場・反応場として期待されている。しかし、タンパク質PEG修飾の固相反応場として利用した場合、反応収率は多孔性担体の1/10程度しか得られないという結果となった。そこで本研究では反応収率を向上させる方法として、リガンド密度および構造によりタンパク質を固体界面における配向状態を最適化する方法を試みた。 今年度は、CIM(Convective Interaction Media)モノリスディスクのミニチュア化モノリスを用いてリガンド密度が細孔特性およびタンパク質の配向特性に及ぼす影響について調べた。ミニチュア化モノリスディスクのカラム体積は0.02mLであり、製品化されているモノリスディスク(BIA Separations, Slovenia)よりも少量かつ迅速に特性評価を行うことが可能である。 基材はポリメタクリレートのものを使用し、未修飾のミニチュア化モノリスディスクを80℃の亜硫酸ナトリウム溶液に4~48時間浸漬することでスルホニル基の導入を行った。細孔特性の評価は操作圧力、タンパク質の動的吸着量・保持係数を測定することで行った。操作圧力はいずれの浸漬時間後もほとんど変化せず、イオン交換基の導入により細孔径が変化していないことが確認できた。また動的吸着量は浸漬時間に比例して増加し、イオン交換基容量が増加していることが分かった。一方、保持係数は浸漬時間が8時間以下になると逆に増加する傾向をとり、イオン交換基の導入量が短いとタンパク質と基材の非特異的な吸着が起こることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ミニチュア化モノリスを用いて、細孔特性の異なるモノリスカラムの作製に成功した。 カラム体積に応じて細孔特性の評価に掛かる時間も削減されるため、順調に研究が進行出来ていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は既に作成したイオン交換基密度の異なるミニチュア化モノリスを用いて、実際に固相PEG化反応を行う予定である。また従来の固相PEG修飾反応の利点としてモノPEG化反応が優先的に進行できることが挙げられ、反応収率のみならず固相反応時のタンパク質の配向状態と生成したPEG化タンパク質の組成比についても調べる予定である。 またイオン交換基としてグラフト型リガンドも導入を検討し、細孔空間を利用したPEG化反応についても検討する。
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