2017 Fiscal Year Research-status Report
質量分析のダイナミックレンジ拡張技術の開発とメタボロミクスへの応用
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16K18303
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
中山 泰宗 崇城大学, 生物生命学部, 准教授 (10758832)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 質量分析 / HDR / メタボロミクス / LC/MS / クロマトグラフィ / 酵母 / バイオインフォマティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
開発しているHDR-MS が生物研究において実際に効果があるか確認した.サンプルには酵母培養で用いられるYPD (yeast peptone dextrose)培地を用い,成分の経時変化(フットプリント)を観測した.YPD培地は酵母で最も頻繁に用いられる培地であるが,細かい成分の変化についてはこれまであまり研究されていなかった.また本培地は栄養豊富であり多くの成分を含み,過剰の栄養源が時間と共に枯渇してゆくので単一成分の変動幅も大きいと考えられた.したがって分析装置のダイナミックレンジの広さが重要であり,HDR-MS の性能を確認するのに適していると考えられた. 初期OD 0.01からはじめ,0 h~21 hまで3 h毎にサンプリングし(n =6)分析に供した.結果として42サンプル,約80化合物を同一バッチで分析した.結果として,11代謝物が装置のダイナミックレンジを超えており,HDR-MSによるダイナミックレンジの拡張が有効であった.以上,本解析法が有効であることが確認された. 成分としては,変化が殆ど無い化合物群,緩やかに減少する化合物群,すばやく減少する化合物群,培養時間と共に蓄積する化合物群,一家的に蓄積し,その後,減少する化合物群に分類された. また、同位体希釈法とHDR-MRを組み合わせた"isoHDR-MS"についても検討している.安定同位体標識サンプルには市販の13C標識シアノバクテリアを用いた.分析,解析方法については現在検討中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度の予定は①HDR-MSによる微生物培養液の窒素化合物変化の包括的な解析、②同位体希釈法とHDR-MSの統合解析である。①は予定通りに進捗しているが、②はサンプルは用意できているが,分析・解析が完了しておらず進捗にやや遅れが生じている.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は本年度の遅れを完了させた上で,従来の平成30年度の研究も進める.同位体希釈法とHDR-MSを加えた方法については分析をLC/MSで行う.解析のプログラムは昨年度までに完成している,HDR-MSのコードを流用する.以上により,イオン化効率と検出器の両方のダイナミックレンジをキャンセル可能なisoHDR-MSを開発する. 当初の本年度予定分として、HDR-MSをTOF-MSのスキャン分析へ応用可能かを検討する.飛行時間型MS(TOF-MS)はQqQ-MSに比べてダイナミックレンジの狭さが問題である.そこで,TOF-MSはQqQ-MSと異なり,コリジョン電圧による検出器へのイオン到達量を操作できないため,別のパラメータが必要となる.そこで解析時にデータを取得するm/zの幅や取得位置,アイソトポマーピークを解析に利用し解決を試みる(pseudoHDR-MS).
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Causes of Carryover |
(理由) 消耗品の販売元がキャンペーン等を行っており、消耗品を想定よりも安価に購入することができたため。 (使用計画) 消耗品、旅費に利用する。
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