2016 Fiscal Year Research-status Report
次世代型極超音速機空力制御のための自己完結的放電気流制御システム
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16K18307
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡邉 保真 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (60736461)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 航空宇宙工学 / 高速流体力学 / 放電プラズマ / 極超音速風洞 / 空力制御 / 空力加熱 / エネルギー回生 / 熱電素子 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は主として1.高レイノルズ(Re)数環境下での直流アーク放電による気流制御特性把握のための実験と数値解析、及び2.当初平成29年度に実施予定であった空力加熱エネルギー回生検証実験の一部を繰り上げて行い極超音速機巡航中のエネルギー回生に関して検討した。 1.極超音速流中、特に実機スケールに対応する高Re数環境の放電気流制御特性解明のため超音速風洞実験・極超音速風洞実験及び数値解析を行った。実験では極超音速機や宇宙往還機のフラップを模した斜面を持つ模型を製作し、前方に電極列を配置してプラズマを発生させ斜面上の圧力等から斜面/フラップ部に作用する力を推算した。高Re数環境下でもフラップ面上に作用する力は1~2割程度の幅で制御できることが判明した。高Re数環境でRe数を様々に変化させる事のできるマッハ2超音速風洞実験を行ったところ、Re数と圧力変動値及び電力の間に強い相関関係がある事を発見した。これにより、今まで実験室スケールで研究されてきた放電気流制御を実機スケールに拡張する上で必要となる重要な知見を得ることができた。 2.極超音速機での放電気流制御に用いる電力を、機体前方の空力加熱からエネルギー回生するシステムを実現するため、その基礎実験として極超音速風洞実験と伝熱解析を行った。マッハ7澱み点温度700K気流中に金属製楔形の熱容量兼実験模型を投入し、模型中央に高温環境での発電特性が優れたスクッテルダイト系熱電素子を配置し空力加熱エネルギー回生実験を行った。温度勾配の厳しい極超音速機機体表面環境で、熱電素子高温側表面温度を銅箔によって均一化した場合と、温度勾配が存在する場合とでの発電量に対する影響を調査したところヒートシンクとの間の温度差を大きくとれる配置の場合に於いて発電量が大きくなる事が判明した。一連の成果は平成29年中に開催される国際会議や国内学会等に投稿済みである
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
全体として当初計画内容は概ね順調に達成し、これに加えて次年度実施予定であった空力加熱エネルギー回生の実験的検証の一部や、実機スケールで放電気流制御を実施する際に必要不可欠となる制御効果のレイノルズ数依存性に対する関係を発見するなどの当初計画を超えた、或いは想定外の重要な進展があった。 なお、実験の一部は当初予定していた衝撃風洞ではなく、広範な高レイノルズ数領域に渡ってより計測精度のよいデータを取得でき、尚且つ秒単位という計測上十分な長さの一様流を実現可能なアメリカノートルダム大学流体科学制御研究所超音速/極超音速風洞SBR-50にて実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は基本的には計画通り、本年度の成果を踏まえて、極超音速気流における空力加熱エネルギー回生特性の解明と、回生効率を最大化するための実験・解析による検討を行う。また、自己完結的空力制御システムの統合実証実験を実施する。研究項目のレベルにおいては本年度における想定外の進展等を踏まえて、気流制御効率のレイノルズ数依存性も勘案した空力加熱エネルギー回生・放電気流制御の有効性検討を行い、更に優れた成果の創出を目指す。
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Causes of Carryover |
本年度実施予定であった高レイノルズ(Re)数環境での放電気流制御特性解明に係る実験に関し、当初計画では特定の高Re数条件下、継続時間4msの気流中で調査するためノズル製作代として物品費を計上した。しかし、気流継続時間が秒単位でより高精度の計測を実現し、尚且つ広範なRe数可変機能を有し実機スケールをカバーしうるRe数での制御効果解明を期待できるアメリカノートルダム大学FlowPAC研究所所有の超音速極超音速風洞SBR50を利用する機会に恵まれた為、当初計画を一部変更しSBR50実験装置を用いてより高精度かつ広範な実験条件での制御特性調査実験を行った。 先方より実験装置使用許可が出た平成29年2月から4月に掛け年度またぎの出張を行った為、交付額一部を出張期間後半の出張経費とするため次年度使用額が発生した。本出張により本年度研究報告進捗状況に記載した通り当初想定した以上の研究成果を得る事ができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今回発生した次年度使用額分は全て上述の実験に係る出張後半に対する出張費として使用する予定である。
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Research Products
(3 results)