2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K18319
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
松本 洋平 東京海洋大学, 学術研究院, 助教 (80572081)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 画像計測システム |
Outline of Annual Research Achievements |
カメラ画像からの波高計測を可能とするための小型艇に搭載する画像計測システムを構築した。小型艇では電力容量の都合でPCを用いることができないため、組み込みシステムによって、画像計測システムを構築する必要があった。 本研究以前に開発済みの小型艇のオートパイロットシステムにおいて、AHRS(Attitude Heading Reference System)やGPSなどのセンサデータのロギングは正確なタイムスタンプとともに行えるようになっていた。今回はそこに波高計測用のカメラ(Allied Vision Technology Mako G-234)を組み込み、これより取得した画像データも正確なタイムスタンプとともに記録可能とした。 また、防滴フィルタを装備できる防水カメラハウジングを新たに開発した。小型艇を用いた画像データの取得において、波飛沫によるレンズの汚れは、画質を極めて低下させる要因となる。これまでの航海では波を浴びるとレンズ表面を清掃する必要があり、連続的に波を浴びる場合には画像データはほとんど利用不能であった。 開発した防水カメラハウジングは、カメラ(Allied Vision Technology Mako G-234)を搭載でき、67mmの防滴フィルタを取りつけ可能となっている。また、監視カメラ用のカメラハウジングと比較して軽量で、また一般のカメラ雲台に搭載できるため、艇からの着脱も容易になっている。10月に運用を開始してから、あらゆる天候の場合に走航しているが、波を浴びて撮影不能となったことはない。一方で、高速航行時に、画像データ取得用のコンピュータとして新たに導入したJetsonTX1が振動でシャットダウンする問題が生じたた。これに対しては、簡単な防振台を製作した。これにより、安定的に画像データを取得できるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
艇にカメラ(Allied Vision Technology Mako G-234)を搭載し、良好な画質で航海中の画像を撮影するために、67mmの防滴フィルタを取りつけ可能なカメラハウジングを作成した。これによって航海中の画像データと艇の運動データをロギングすることが可能となった。 熊本震災のためにカメラの入手が遅れ、カメラハウジングを作成し小型艇へ搭載できるようになったのは9月であったため、当初予定した夏季のデータ収集はできなかった。また、利用予定であった野島崎沖のHFレーダー波高計の運用が停止されたため、当初予定したデータ収集を実施するには相模湾のデータを利用する他に手段がない状況となっている。 予定ではHFレーダーの波高と画像データを同時に収集し、画像データから抽出した特徴量と波高計測データの相関を調べる予定であったが、現在は加速度計を用いてヒービングを計算することで波高を得ることを考えている。そのために、実験艇に装備されているAHRS(Razor IMU)のファームウェアを改造し、従来のロール・ピッチ・ヨーの他に加速度も同時にロギングできる機能を追加した。3月に浦安・富浦間を2日にわたって航行し、加速度を含む運動データと、それに同期した航行中の画像データを取得した。(このデータの優義波高は目視で0.5~1.5m)以後、艇の運動モデルを構築しヒービングの推定を行う手法を検討している。 一方で、艇に装備している画像処理用のコンピュータ(JetsonTX1)に波高の推定を学習させたDNNを動作させるべく、12月からcaffeのトレーニング済みモデルを動作させるための環境を構築したが、caffeをトレーニングするためには大容量メモリを搭載したGPGPUボードが必要となることが判明したため、現在はTensorFlowの環境構築を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
野島埼のHFレーダー波高計のデータが利用できなくなったため、代わりの波高データ取得方法を2通り実施する。ひとつは、相模湾のHFレーダー波高計を用いる方法であり、今夏に集中的に実施する。もうひとつは、艇の運動モデルを推定し、計測した運動データから波高を推定する方法である。これによって絶対的な波高を決定するにはまた別な計測との比較を必要とすると考えられるが、画像から得られる何らかの特徴と波高との相関を解析することは可能であると考えている。 データが得られれば、DFTやウェーブレット、画像勾配を抽出し、波高、あるいは、それに相関がある物理量との比較を行い、推定モデルを構築する。また、DNNのトレーニング環境を構築し、画像データに対する波高あるいは波高に相関がある何らかの物理量を学習させ、先に構築した推定モデルと比較する。 DNNのトレーニングに向けて、現在、GPUボード2枚を搭載したLinuxマシンにTensorFlowのトレーニング環境を構築し蓄積したデータを入力できるように環境を整えている。また、艇に装備してあるJetsonTx1で波高を学習させたDNNモデルの実行を可能とする。
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Causes of Carryover |
ジャイロセンサの購入を私物の安価なAHRSの利用で変えている。(ただし、今後、その精度に問題があれば、購入の必要がある。)
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現在使用しているAHRSのジャイロセンサとしての精度が低いと判断した場合は、より高精度なAHRSを購入するために使う。そうでなければ、DNNトレーニング用のコンピュータの強化に使う。
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