2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K18330
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
芳賀 一寿 秋田大学, 理工学研究科, 助教 (10588461)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アパタイト / 硫酸浸出 / 溶媒抽出 / シュウ酸沈殿 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、レアアースの新たな供給源としてアパタイトに着目し、アパタイトからのレアアース回収の可能性を検討した。平成29年度は、硫酸を用いたアパタイトからのレアアース浸出条件を検討したほか、浸出工程より得られる浸出液(レアアース含有硫酸溶液)を対象に、アンモニア水を用いたpH調整およびシュウ酸添加によるレアアースの沈殿回収を試みた。その他、溶媒抽出法を用いて、浸出液からのレアアースの相互分離が可能か検討した。浸出の結果、1 mol/Lの硫酸を用いることで、アパタイトに含まれるレアアースの85%以上を浸出できた。また得られた浸出液に対し、アンモニア水を用いてpHを1に調整した後にシュウ酸を添加した結果、99%以上のレアアースを沈殿物として回収できることを確認した。一方、溶媒抽出法によりレアアースの相互分離を試みた結果、抽出剤としてD2EHPAを用いることで、浸出液から重希土類元素を選択的に抽出できた。また、pHを調製することで、抽出残液から軽希土類元素を抽出回収することも可能であった。加えて、1 mol/Lの硫酸を用いて逆抽出を行うことで軽希土類元素を、4 mol/Lの硫酸を用いることで重希土類元素を抽出できることを確認した。以上の結果から、浸出および沈殿回収を組み合わせることで、アパタイト鉱石からレアアースを回収できる可能性が示唆されたほか、溶媒抽出法を組み合わせることで、浸出液からレアアースをある程度分離して回収できることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
浸出試験では、硫酸を用いた浸出によりアパタイトに含まれるレアアースの90%を浸出できたほか、溶媒抽出あるいはシュウ酸沈殿を用いて、浸出液から固体あるいは溶媒としてレアアースの分離濃縮を達成した。さらに溶媒抽出法では、重希土類と軽希土類を相互分離する条件を見出したほか、それらを逆抽出する条件も明らかにするなど、順調に研究が進展している。またレアアースのほかにも、アパタイト中に含まれるリンの回収にも着目し、一連のプロセスの中でレアアースとリンを含む浸出液からレアアースとリンを回収するプ技術を見出しつつある。これらの内容は、査読付きの国際学術誌に1編掲載されたほか、現在もう1編投稿中である。以上の内容から、(2)おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で、アパタイト中に含まれるレアアースの85%以上を硫酸で浸出できる条件を見出すととともに、溶媒抽出あるいはシュウ酸沈殿を用いて浸出液からレアアースを選択的に分離する条件を見出した。しかしながら、浸出を行う際のパルプ濃度を高めると、浸出液がゲル化し、固液分離が困難となった。アパタイトからの高効率レアアース浸出プロセスを確立するためには、高いパルプ濃度での浸出方法を検討する必要がある。次年度の研究では、浸出に供するアパタイトの粒径を粗粒にすることで、高い浸出率を維持しながら、浸出時のゲル化を抑制できるか調査する。 また浸出液中には、アパタイトに含まれるリンも含まれるため、レアアースと同時にリンも回収できるプロセス構築を行う。レアアースとリンを含む浸出液に対し、アンモニアとシュウ酸を加え、レアアースを回収する。その残液に対し、水酸化マグネシウムを添加しpHを9に調整することで、溶液中のリンをリン酸マグネシウムアンモニウムとして回収する。この一連のプロセスを確立することで、アパタイトからレアアースとリンを同時に回収する資源回収プロセスを構築する。
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Research Products
(4 results)