2016 Fiscal Year Research-status Report
地震波の減衰と速度変化によるCO2地中貯留におけるCO2モニタリング技術の開発
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16K18332
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
池田 達紀 九州大学, カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所, 助教 (00736845)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 二酸化炭素地中貯留 / モニタリング / 地震波 / デジタル岩石物理 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、主に(1)デジタル岩石を用いたCO2圧入に伴う地震波速度変化の推定(2)カナダのアクイストア二酸化炭素地中貯留(CCS)フィールドに設置された精密制御震源により発生した連続地震波データの解析を行った。(1)X線CTによりデジタル化した岩石サンプルに対し、CO2圧入を模擬した流体シミュレーションを行った結果から、CO2飽和度ごとのデジタル岩石モデルを抽出した。各モデルに対し、弾性波動シミュレーションを適用することで、CO2の飽和度ごとの弾性波速度を推定した。さらに異なるCO2圧入条件下で弾性波速度を推定した結果、同様の飽和度であっても、弾性波速度変化に違いが生じた。これは孔隙中に分布するCO2の不均質の度合いの違いを反映したものであると考えらえる。(2) カナダのアクイストアCCSフィールドに設置された精密制御震源による連続地震波データを解析することで、表層付近の地震波速度変化をモニタリングした。その結果、温暖な季節に比べ、冬に推定された地震波速度の方が速いことが明らかになった。これは冬に表層付近の間隙水が凍結していること反映していると考えられる。このような季節性の速度変化は小さくなく、貯留層からの反射波により圧入したCO2を高精度にモニタリングする上で、その影響を適切に評価することが重要であることがわかった。実際、貯留層からの反射波走時も表層付近の変動と考えらえる影響により季節変動している。さらに、このモニタリング手法を改良することで、空間的な速度変化モニタリング手法の開発に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
デジタル岩石から推定された地震波速度の値が実験値より高く求まる傾向があり、整合的なモデリングを行うためには、実験室での測定値とキャリブレーションする必要があることがわかったが、その実験データを計測していないため。また、震源と圧入井のジオメトリの関係から圧入井周辺で貯留層からの反射波を抽出することが難しく、反射波の解析が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
デジタル岩石のシミュレーション結果をキャリブレーションするための実験データを取得し、適切なモデリングを行う。また減衰係数の推定も行う予定である。反射波の空間的な抽出が難しい場合、平成28年度の研究で明らかとなった表層付近の影響を空間的に評価し、その影響を補正する手法の開発を行うことで、トレースベースで高精度な反射波走時の推定を試みる。
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Research Products
(4 results)