2017 Fiscal Year Research-status Report
ヘリカル原型炉のダイバータプラズマ予測を目指した周辺プラズマ輸送モデル開発
Project/Area Number |
16K18340
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
河村 学思 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 助教 (70509520)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 磁場閉じ込め核融合 / 周辺プラズマ / 輸送モデリング / 不純物 / LHD |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はヘリカル型核融合原型炉に対する予測性向上を目的として,プラズマが装置壁に接するダイバータプラズマやそれと炉心の間に位置するプラズマ(以下まとめて周辺プラズマと呼ぶ)の分布や特性をより正確に記述するモデルの開発を進めるものである.そのために,実績ある計算コードEMC3-EIRENEを用いている.29年度は不純物輸送に関連し,2つの研究を実施した.一つは大型ヘリカル装置(LHD)に不純物としてネオンおよび窒素ガスを放電中に導入したときの,不純物輸送モデル開発および実験結果との比較による検証である.具体的には,アルゴンと窒素の異なる化学活性に基づき,それぞれイオンが壁で全て中性化する条件と全て吸着して失われる条件を仮定して計算を行い,ネオンではガス導入位置と無関係なトロイダルに対称的な不純物分布,窒素ではガス導入位置近傍に局在化した不純物分布となり,実験計測に矛盾しない結果が得られた.もう一つの研究は,LHD形装置に液体金属を想定したリミターを導入した際のプラズマへの影響評価である.具体的には,もっとも熱負荷の大きくなるトーラス内側(横長断面内側)に高熱負荷に耐えられる液体金属を模擬した平板を設置し,その設置位置によるプラズマへの影響とそこから発生する不純物の影響を調べ,炉心に近づけすぎると炉心温度の低下を及ぼし,遠ざけすぎるとリミターで熱を取りきれないこと,などの結果を得た.一つ目の研究は21st International Stellarator-Heliotron Workshopで口頭発表し,Plasma Physics and Controled Fusion誌に投稿中であり,二つ目の研究は26th International Toki Conferenceでポスター発表し,Plasma and Fusion Research誌に掲載が決まっている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
29年度当初に計画していた二つの研究テーマ(研究実績の概要で述べたもの)について,予定通りにコードの変更および360度計算グリッドの開発を進め,国際会議発表および論文投稿を行った.ネオンおよび窒素ガスパフ放電のモデリングについては,ネオンは実験計測とよく一致し,窒素についてはダイバータへの粒子束のトロイダル分布について計測で見られる特徴を再現しているもののピーク位置の違いや発光分布の違いなどについて精度向上のための課題が複数見えてきた.実験の再現という意味では不十分な部分もあるが,現状のモデリングの課題の洗い出しを進めることができ,研究の進展としては問題ないと考えている.また,当初の予定に加えて,共同研究としてJT-60SA(量子科学技術研究開発機構)やHeliotron-J(京都大学)へのEMC3-EIRENEコードの適用を開始し,試験計算を実施するなど,他のプラズマ閉じ込め装置への派生的研究を開始することができ,順調な進捗があったと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
窒素ガスパフに関して29年度に明らかになった課題に対して,30年度に追加調査を進める.すなわち,ガスパフノズルの位置や,中性ガスの壁での反射率,プラズマパラメータの影響など,現状で可能な検討を行うとともに,窒素不純物がどのようにプラズマ中を輸送されているかを解析し,計測との違いの原因についてた方向から検討を加える計画である.また,現在は真空磁場による計算グリッドを用いているが,プラズマの寄与を加えた磁場によう計算グリッドの作成について検討する.大きな違いは生じないと仮定して研究を進めてきたが,計測との違いに対してどのくらい影響があるかを評価する必要があると考えている.また,コードに大きな変更が必要となる不純物の粒子ドリフトについても,コード開発者(Max-Planck IPP ドイツ)を訪問して,開発方針について議論することを検討する.30年度は本研究課題の最終年度であり,初年度の成果である装置サイズのプラズマ・中性粒子相互作用の解析などを再度整理し,論文投稿を検討する.
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Causes of Carryover |
EMC3-EIRENEコードの開発者(Max-Planck IPP ドイツ)を訪問し,コード開発等について議論および作業を行う予定であったが,同年に同開発者を訪問していた共同研究者(大連理工大学 中国)を8月に招聘して一部情報を入手可能であったこと,また21st International Stellarator-Heliotron Workshopで発表したガスパフ等のEMC3-EIRENE計算のためのコード整備やそれを用いた計算自体に予想以上に時間を要したことなどから,開発者への訪問を取りやめ,その分の旅費を次年度へ繰り越すこととした.また,ワークステーションの導入も検討していたが,研究所内のワークステーションの利用で代替した.次年度については,今後の研究の推進方策で述べたように,開発者の訪問およびワークステーションの導入を検討してる.
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[Journal Article] Toroidally symmetric/asymmetric effect on the divertor flux due to neon/nitrogen seeding in LHD2017
Author(s)
Tanaka H., Kawamura G., Masuzaki S., Kobayashi M., Akiyama T., Peterson B.J., Mukai K., Sano R., Dai S.Y., Sakamoto R., Morisaki T., Ohno N.
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Journal Title
Nuclear Materials and Energy
Volume: 12
Pages: 241-246
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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