2016 Fiscal Year Research-status Report
Zr系ベリライド合金による高性能化水素同位体貯蔵材料の創製技術に関する研究
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16K18343
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Research Institution | National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology |
Principal Investigator |
金 宰煥 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 六ヶ所核融合研究所 ブランケット研究開発部, 主任研究員(定常) (80613611)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 水素吸蔵合金 / ベリライド / 水素化物 / 焼成 |
Outline of Annual Research Achievements |
新水素同位体吸蔵合金としてBe2Zr系ベリライド及びCo置換型Be2Zr1-xCoxベリライドを創製し、水素同位体吸蔵特性に及ぼすベリリウム合金の焼成条件の影響及び水素吸蔵特性に及ぼす置換元素量の影響を調べた。BeとZrの始発粉末は酸化しやすい材料で、再現性良く不純物を含まないBe2Zr組成のみの単相試料を得ることが困難であった。そのため、雰囲気制御が可能なグローブボックス内で粉末を乾燥・秤量・混合等を行い、混合粉末を熱処理することによって混合粉末を合金化し、目標であるBe2Zr単相試料の試作に成功した。 Be2Zr試作試料の水素吸蔵特性を調べるため、各温度(150、100、50、25度)における水素圧力変化に伴う試料の組成変化を調べるPCT(圧力-組成-温度)特性評価を行った結果、水素圧力13Mpaで約0.41wt%(0.147 H/M)という結果を得た。この結果は、材料の持つ特性上、水素解離平衡圧が高い可能性があるためと考えれる。この課題の対策として、水素吸蔵特性の改善のため、Zrの一部をCoに置換し、同等な条件で合成試験を行い、相変化観察及びPCT特性試験を実施した。しかしながら、Co添加量が増加することにより、Co2Zr及びCoZr化合物の形成されるとともに水素吸蔵特性が低下することを明らかにした。この低下は、低水素吸蔵能の有すると知られているCo2Zrの増加に起因すると考えられる。 Be-Zr系吸蔵合金の合成条件の最適化研究や置換元素の効果や理論計算等の研究を進める予定である。この研究成果は12月フランス、パリで開催されるThe 19th International Conference on Hydrogen Energy and Technologyで発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度研究計画であるBe2Zr化合物合成技術に関する研究はおおむね順調に進展している。雰囲気制御が可能なグローブボックス内で粉末作業も可能になり、Be2Zr単相の試作試料の合成にも成功している。しかしながら、PCT法による吸蔵放出に伴うプラトー領域部の特定が難しく、水素解離平衡圧や水素吸放出に伴うエネルギー変化などを求めることが困難であった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度において、PCT測定での水素吸放出に伴うエネルギー変化などの評価が困難であったため、重水素イオン照射や熱拡散による水素ガス導入後の加熱試験を実施し、水素(重水素)放出に伴うエネルギー変化を調べ、水素吸蔵放出特性を評価する予定である。また、水素特性評価法の検討と並行し、新たな組成であるBe-Co-Zr系のベリライドを合成し、第2元素の一部置換による水素特性への効果を評価する。
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Causes of Carryover |
特定の物品(プランジー)の納入が遅れる恐れがあったため、既に所有していた物品を使用し、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
試験用ガスラインの物品購入に使用する。
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