2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K18350
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Research Institution | National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology |
Principal Investigator |
木村 敦 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 先端機能材料研究部, 主幹研究員(定常) (60465979)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | イオン液体 / 天然多糖類 / 放射線 / 複合ゲル / 生体電極 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、イオン液体に溶解した各種天然多糖類および天然多糖類ナノファイバーに放射線を照射することで、優れた力学特性、電気伝導度を有する天然多糖類複合ゲル材料の開発を目指している。昨年度は、試料調製方法の検討および各種分析機器の整備・校正を行った。さらに、適切な天然多糖類(セルロース、キトサン)を選択し、イオン液体に溶解して放射線照射することで、天然多糖類複合ゲルの作製に成功した。 今年度は、作製したセルロース/キトサン複合ゲルの収率および物性の分析を行った。セルロースおよびキトサンを単独でイオン液体に溶解し、放射線を照射して作製したゲルの収率は15%以下であったため、生体電極等の材料に応用することは不可能であった。一方で、セルロース/キトサン複合ゲルの収率は最大で85%であり、その弾性率も25 kPaと生体電極に必要な10-100 kPaの範囲内であることを明らかにした。この収率の著しい増加は、セルロースを複合したことによる酸・有機溶媒への耐性の増加と、キトサンを複合したことによる含水率の増加(含水による放射線架橋反応の促進)によるものと考えられる。また、複合ゲルを動的粘弾性を測定し、ゲル中に化学架橋が導入されていることを確認した。イオン液体を含浸した複合ゲルの電気伝導度を測定し、3.3 mS cm-2であることがわかった。さらに、来年度実施予定である天然多糖類複合ゲルの最適化および生体電極への応用試験のための実験装置(サイクリックボルタンメータ、レーザー位置測定装置)の整備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書類に記載した平成29年度研究計画(天然多糖類複合ゲルの作製と評価:ゲルの収率、膨潤度、動的粘弾性、弾性率、電気伝導度)は達成できた。平成30年度実施予定の天然多糖類複合ゲルの最適化および生体電極への応用のための実験準備も完了している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、天然多糖類複合ゲルの最適化を行い、さらに生体電極への応用試験として、電圧応答およびサイクリックボルタンメトリーを行う予定である。 また、高分子材料関連の国際会議において発表を行い、研究の外部発信に努める。
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Causes of Carryover |
当該年度の研究計画はおおむね順調に進行しているが、研究の外部発信の機会が少なかったため、次年度使用額が生じてしまった。次年度は、国際会議および国内会議に積極的に参加し、当該研究成果の外部発信および論文投稿を目指す。
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