2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of natural polysaccharide hybrid gel by ionizing radiation
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16K18350
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Research Institution | National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology |
Principal Investigator |
木村 敦 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 先端機能材料研究部, 主幹研究員(定常) (60465979)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 天然多糖類 / 放射線 / 複合ゲル / 生体電極 / アクチュエーター |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、イオン液体に溶解した各種天然多糖類および天然多糖類ナノファイバーに放射線を照射することで、優れた力学特性、電気伝導度を有する天然多糖類複合ゲル材料の開発を目指している。昨年度までに、天然多糖類であるセルロース/キトサン複合ゲルの収率・弾性率・電気伝導度がそれぞれ85%、25 kPa、3.3 mS cm-2と生体電極に必要な値の範囲内であることを明らかにした。 今年度は、作製した天然多糖類複合ゲルの生体電極やアクチュエーターへ応用可能か確かめるため、電圧応答試験を行った。天然多糖類複合ゲルの電圧に対する屈曲運動性を分析した結果、その曲率を0.06 m-1 V-1と求めた。この値は一般的なイオンゲルアクチュエーターの値に近いことから、放射線とイオン液体を組み合わせることで、低毒性かつ生体適合性を有する天然多糖類を母材とした複合ゲルアクチュエーターを開発することに成功した。ここまでの研究成果について、高分子材料関連の著名な国際会議であるMoDeSt2018において発表を行った。さらに、Elsevier社の高分子材料関連の雑誌であるPolymer Degradation and Stability誌に論文投稿を行い、平成30年11月に受理された。 本研究で開発した天然多糖類複合ゲルを生体電極や埋め込み型人工筋肉などの医用ゲルアクチュエーターへ実用化するためには、ゲルの弾性率、電気伝導率、曲率のさらなる向上が必要である。そこで、天然多糖類・イオン液体溶液に天然多糖類ナノファイバーを添加し、γ線・電子線照射してコンポジット複合ゲルを作製した。しかし、ナノファイバーが均一に分散していないため、コンポジット複合ゲルの物性の著しい向上が見られなかった。今後は、試料作製条件を最適化して、医用応用可能な天然多糖類コンポジット複合ゲル材料の実現を目指す。
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