2016 Fiscal Year Research-status Report
白金族元素吸着ポリマーの特性の解明及び高レベル廃液からの分離回収への適用研究
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16K18352
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
鈴木 智也 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 環境管理研究部門, 研究員 (80748624)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 白金族元素 / 吸着分離 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ベタイン型ポリマーの硝酸水溶液中の白金族元素(Ru, Rh, Pd)に関する吸着挙動の評価及び、その応用としてクロマトグラフィー法を用いた硝酸水溶液からの白金族元素分離回収法の提案を目的としている。 初年度としては、ベタイン型ポリマーの硝酸水溶液中のRu(III)に関する吸着挙動について検討を行った。具体的にはベタイン型ポリマーとRu(III)を含む硝酸水溶液を混合し、混合前後の水溶液中の金属イオンの変化から吸着率を算出した。その結果、pH1付近で高い吸着率を示し硝酸濃度の上昇に伴い吸着率が減少するが、硝酸濃度1M以上において、吸着率が徐々に上昇していくことが確認された。水素イオン濃度や硝酸イオン濃度のみを変化させ検討を行った結果、水素イオン濃度が低く、硝酸イオン濃度が高い溶液条件において吸着率の上昇が確認された。硝酸を吸着したベタイン基の水素イオンとRuイオンのカチオン交換による吸着と予想される。赤外分光法を用いて、Ruを吸着後のポリマーを調べたところ、吸着前後でカルボキシレートのピークのシフトが観測されたことから、ベタイン基のRuへの配位が吸着に関与していることが示唆された。 トリエチルアミンを水溶液に添加した系でも同様にRuの吸着挙動の検討を行った。その結果、トリエチルアミンの添加量が多いほど、水溶液中の水素イオン濃度が減少し、一方で、Ruの吸着率の増大が確認された。これより、アミンの効果は、硝酸水溶液中の水素イオン濃度を減少させ、Ruの吸着を促進させることであると考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Ruとベタイン型ポリマーの反応を評価するために必要な吸着データや分光学的データを得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに取得したRuとベタイン型ポリマーの基礎的な吸着データを基に、水溶液の温度上昇に伴うRu吸着率の増加現象に関する挙動の解明を進める。温度上昇時にRuを吸着したベタイン型ポリマーに関してXAFSやFT-IR測定を行い、吸着時の温度上昇の有無による分子構造の変化についても検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
実験が円滑に進み試薬等の消費量が予定より少なかったため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
試薬の購入を予定している。
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