2016 Fiscal Year Research-status Report
革新的エクセルギー回収およびプロセス統合による藻類を利用する高効率エネルギー生産
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16K18355
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
アズイッズ ムハンマッド 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 特任准教授 (40611190)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 藻類 / エネルギー生産 / エクセルギー回収 / プロセス統合 / エネルギー高効率化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、エクセルギー回収およびプロセス統合の2つの技術を同時に検討し、藻類に特化した独創的なエネルギー変換プロセスを提案する。エクセルギー回収では、ある特定のプロセス内のエネルギーや熱を効率的に循環させ、エクセルギー損失を最小化する。また、あるプロセスに回収できない熱をプロセス統合によって、他のプロセスに利用する。エクセルギー回収およびプロセス統合を同時に適用することで、プロセス全体の省エネルギー効果が非常に大きいと考える。
平成28年度では、主に藻類による発電システムの基礎プロセスの設計・評価を行った。提案したプロセスは、主に乾燥・ガス化・ケミカルルーピング・コンバインドサイクルで構成される。各プロセスに適した装置などを文献および計算によって整理・明確化した。藻類乾燥ではスチームを乾燥媒体として利用し、乾燥機から排出されたスチームをコンプレッサによって加圧し、同プロセスに循環下。ガス化では 二塔式循環流動層を適用し、ガス化条件などをシミュレータを利用して計算した。また、ケミカールルーピングでは三つの反応器を設け、それぞれ還元、酸化、燃焼の反応器である。ガス化から生成された合成ガスが還元反応器で金属酸化物と反応し、CO2と水蒸気が生成される。また、還元された金属酸化物が酸化反応器に入り、水蒸気と反応し、水素が生成される。ケミカルルーピングは総合的に発熱反応であるため、余った熱をコンバインドサイクルによって発電できる。
上記のプロセスの概念設計・モジュール化を行い、全システムの最適化および省エネ化を行った。本年度の研究成果としては、国際学会1件(実施済み)、学術論文2件(それぞれ掲載済みおよび投稿中)、本章1件(投稿中)である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各プロセスに適した装置および藻類の特性評価は、概ね予定通り実施された。また、基本プロセスの設計(モジュール化)についても、当初の計画通り実施できた。また、新規性を上げるために、ガス化後のプロセスとしてはケミカルルーピングを導入し、藻類による発電および水素の製造が可能にした。結果として、約72%の全エネルギー変換効率がえられた。 これらの成果を利用して、国際学会および学術論文の作成を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29および30年度では、当初の計画通り、全システムの最適化および要素技術の抽出を行う。システムの最適化では、超臨界ガス化を導入して、藻類による発電および水素の製造プロセスを設計・評価する。超臨界ガス化を導入することで、藻類の乾燥が不要になるため、システムの簡易化および省エネルギー化につながる。しかしながら、超臨界までの状態に持っていくための動力・熱も非常に高いため、要素技術の明確化およびシステムの最適化・省エネルギー化が必要となる。
また、エクセルギー回収およびプロセス統合による藻類を用いたエネルギー生産の課題について検討を行い、各要素技術の抽出を行う。本研究でカバーできない課題および次の実プロセス設計に必要とする技術・データ等を洗い出す。
最後に、統合化した全プロセスに対して再度エネルギーとエクセルギーの解析と評価を行う。全プロセスにおける最終エネルギー・エクセルギー効率も求める。また、実証の可能性に向けて、プロセスシミュレータに含まれたツールによってコストおよび経済性の検討を行う。
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Causes of Carryover |
当初計画した人件費が不使用になったため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度の予算に合わせて、人件費および実験に必要とする物品などの購入に利用する
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