2017 Fiscal Year Research-status Report
生理学的アプローチによる新規睡眠制御ニューロンの機能発現の解明
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16K18358
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
上田 壮志 筑波大学, 国際統合睡眠医科学研究機構, 助教 (00599821)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 睡眠 |
Outline of Annual Research Achievements |
睡眠は全脳・全身の生理現象であり、覚醒から睡眠は数分~数十分かけて遷移する比較的遅い系である。そのため、睡眠状態をつくり出すのは拡散性因子などのいわゆるニューロモジュレータが主因であると考えられてきた。しかし、近年では脳のいろんな部位のグルタミン酸やGABA作動性などのいわゆる速い伝達を担うニューロン群とそれが紡ぐ神経回路網による緻密な睡眠制御の存在も示唆されている。具体的には、哺乳動物の睡眠・覚醒制御では、皮質下の前頭前野や基底核などにそのようなニューロン群が存在する。このような睡眠・覚醒制御ニューロン群はいくつか同定されているが、それらの既知の構成要素の組み合わせでは睡眠・覚醒パターンの形成はまだ説明できない。本研究では部位及びセルタイプ特異的なニューロン活動操作技術により、古典的な切断・破壊実験で見過ごされてきた脳部位を狙った新規の睡眠・覚醒制御ニューロンの無作為探索を試みている。現在までに延髄の一部に覚醒~ノンレム睡眠~レム睡眠の遷移を制御するニューロンが存在することを見出している。この部位でこのタイプのニューロン群の存在を示唆する報告は未だ無い。このニューロン群の活動操作と投射パターンの解析を終え、その生理学的特性の解明のため、電気生理学的実験とイメージング実験の両方の準備を進行中である。アプローチの難しい部位のため、複数の選択肢を試行しつつ最適化する必要があり、予想より時間を費やすこととなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
いくつかのコントロール実験を行い、その結果から、本年度までで得られた方向性が妥当なものと判断された。また新たな実験の準備もおおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
睡眠においては未探索の脳領域であるため、正確な入出力関係を知るために、各種トレーサー実験を行う。さらに、生理学的特性を理解するためにin vivoの活動パターン記録を実施する。
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Causes of Carryover |
既存の機器での併用が可能だったため、新規の購入を控えた。今後、生理学実験とウイルス実験を効率化する機器を購入し進行速度を速める。
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