2018 Fiscal Year Annual Research Report
Fatty acid binding protein in the anterior cingulate cortex modulates GABAergic system
Project/Area Number |
16K18366
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Research Institution | Tohoku Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
山本 由似 東北医科薬科大学, 医学部, 助教 (80635087)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | FABP3 / 抑制性介在ニューロン / GAD67 / GABA |
Outline of Annual Research Achievements |
神経細胞の恒常性異常や破綻により、高次脳機能障害が招来される。近年、脳内の脂質代謝異常が、精神疾患に関与することが示されているが、その分子機構は不明である。本研究の目的は、細胞内脂肪酸輸送体の脂肪酸結合蛋白質(FABP)によって制御される神経細胞の脂質恒常性維持が、高次脳機能にどのような意義を持つのか検証することである。申請者は、FABP3が前帯状皮質(好奇心などの新奇探索行動を調節する)の抑制性介在ニューロンに特に高発現していることを初めて明らかにしている。さらに、FABP3は、GABA合成酵素であるGAD67のmRNAの発現を、エピゲノム調節機構を介して負に制御していることを明らかにしている。前帯状皮質のGABAシステムが、FABP3によっていかに制御されているのか、前帯状皮質抑制性介在ニューロンのGABAシステム変化が、いかに高次脳機能に関与するのか、FABP3遺伝子欠損(KO)マウスの解析を中心に検証した。 その結果、以下のような結果を得た(Yamamoto et al., J Neurosci. 2018)。 1)FABP3の前帯状皮質における詳細なマッピングの結果、FABP3は錐体ニューロンや、PV以外の抑制性介在ニューロンのマーカーとはほとんど共局在していなかった。 2)FABP3KOマウス前帯状皮質では、定常状態及び脱分極刺激後のグルタミン酸細胞外遊離量が低下していた。この結果は、GABA放出増加に端を発した、グルタミン酸神経終末のGABAB受容体の過剰な活性化によるグルタミン酸分泌顆粒の開口放出の減少を反映していると考えられる。
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