2016 Fiscal Year Research-status Report
霊長類における出典記憶大脳ネットワークの解明:fMRI・光遺伝学の複合アプローチ
Project/Area Number |
16K18367
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
長田 貴宏 順天堂大学, 医学部, 助教 (00456104)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 機能的磁気共鳴画像法 / 霊長類 / 出典記憶 / マカクサル / 神経活動不活化 / 前頭葉 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、出来事がどのような文脈で起きたかに関する記憶である出典記憶のうち、時間的文脈の記憶を調べる課題である時間順序識別記憶課を用いて、大脳記憶ネットワークにおける前頭葉の果たす役割の解明を目的としている。機能的磁気共鳴画像法(fMRI)により同定された課題遂行中に活動する脳領域(Osada et al., PLOS Biology, 2015)に対して、領域の神経活動と行動との直接的な因果関係を調べた。具体的には、神経活動不活性化を薬理学的介入で行い、介入による課題遂行への影響を検証した。薬理学的不活性化の予備実験を行い、本番実験を1頭のサルにおいて行った。 大脳記憶前頭葉ネットワークにおける上記の介入実験を行うとともに、課題遂行中におけるfMRI実験から大脳記憶ネットワークの階層性について検証し、成果を2016年7月の国内学会で発表した。また、メタ記憶の大脳ネットワークのfMRIによる同定および神経活動不活性化による介入の効果について報告した共同研究の成果は学術雑誌Scienceに掲載された(Miyamoto, Osada et al., Science, 2017)。さらに、fMRIを用いた脳ネットワーク分析を、ヒトを対象とした研究にも適用し、成果の発表を学術雑誌(Hirose, Osada et al., Frontiers in Human Neuroscience, 2016)、国際学会(Neuroscience 2016など3件)に行った。 なお、当初の研究計画では、神経活動抑制型の光活性化タンパク質をウイルスベクターを用いて導入し、留置型剣山型光ファイバプローブを使った広域大脳皮質へのレーザー光照射による神経活動抑制を予定していたが、予備実験で検討した結果、技術的困難が解消できないため、薬理学的介入による神経活動抑制を行うよう研究計画を変更した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初はfMRI実験により同定された前頭葉領域に対して、神経活動抑制型の光活性化タンパク質ArchT3.0をウイルスベクターを用いて導入し、留置剣山型光ファイバプローブを使った広域大脳皮質レーザー光照射を用い、神経活動抑制を行うことを計画していた。しかし、留置剣山型光ファイバプローブの開発・留置や神経細胞抑制システムの検討などの予備的実験を重ねた結果、いくつかの技術的問題点が解消できないため、当初の予定を変更することとした。そのため、ムシモル(GABAA受容体アゴニスト)を用いて、fMRI実験により同定された領域に対して薬理学的介入を行い、課題遂行への影響を検討する実験デザインへと進めることとした。 薬理学的介入実験について予備実験を行い、実験システムセットアップおよび手技の検討を1頭のサルを用いて行った。予備実験を行ったのち、本番実験においては、fMRI実験により同定された前頭葉領域に対して薬理学的介入を行い、課題遂行への影響を検討する実験を1頭のサルで進めており、予備的データも出ている。また、2頭目のサルについても課題訓練は終了している。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の留置型剣山型光ファイバプローブを使った広域大脳皮質へのレーザー光照射による神経活動抑制を行うという研究計画が予定変更となったが、薬理学的介入による課題遂行への影響を見ることで、大脳記憶ネットワークにおける前頭葉の果たす役割の解明という当初の目的の達成を目指している。薬理学的介入による行動の変化から、fMRI実験において同定された前頭葉領域の大脳ネットワークにおける機能の解明が期待される。平成29年度は、平成28年度で進めている実験を引き続き継続し、実験データをまとめ、学術雑誌への原著論文の発表を行う予定である。
|
Causes of Carryover |
研究計画の変更や他予算の都合により、備品購入などに変更が生じた。また、研究補助について計上していた人件費の執行についても変更が生じた。そのため、一部使用予定を変更し、次年度に使用するようにした。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度で執行する予定であった研究補助の人件費として使用する予定である。
|
Research Products
(7 results)
-
-
[Journal Article] Lateral-medial dissociation in orbitofrontal cortex-hypothalamus connectivity2016
Author(s)
Hirose S†, Osada T†, Ogawa A, Tanaka M, Wada H, Yoshizawa Y, Imai Y, Machida T, Akahane M, Shirouzu I, Konishi S († equal contribution)
-
Journal Title
Frontiers in Human Neuroscience
Volume: 10
Pages: 244
DOI
Peer Reviewed / Open Access
-
-
[Presentation] Heterogeneity of orbitofrontal cortex with reference to hypothalamus2016
Author(s)
Osada T, Hirose S, Ogawa A, Tanaka M, Wada H, Yoshizawa Y, Imai Y, Machida T, Akahane M, Shirouzu I, Konishi S
Organizer
5th Biennial Conference on Resting State and Brain Connectivity 2016
Place of Presentation
Vienna, Austria
Year and Date
2016-09-21 – 2016-09-21
Int'l Joint Research
-
-
[Presentation] Orbitofrontal-hypothalamic functional interaction revealed by high-resolution resting-state fMRI2016
Author(s)
Ogawa A, Osada T, Hirose S, Tanaka M, Wada H, Yoshizawa Y, Imai Y, Machida T, Akahane M, Shirouzu I, Konishi S
Organizer
第39回 日本神経科学大会
Place of Presentation
パシフィコ横浜(横浜)
Year and Date
2016-07-20 – 2016-07-20
-
[Presentation] Neuroanatomical basis of orbitofrontal-hypothalamic interaction revealed by areal parcellation2016
Author(s)
Osada T, Hirose S, Ogawa A, Tanaka M, Wada H, Yoshizawa Y, Imai Y, Machida T, Akahane M, Shirouzu I, Konishi S
Organizer
OHBM 2016 Annual Meeting
Place of Presentation
Geneva, Switzerland
Year and Date
2016-06-29 – 2016-06-29
Int'l Joint Research