2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K18369
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
横井 佐織 北海道大学, 薬学研究院, 助教 (10772048)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 不安定化ドメイン |
Outline of Annual Research Achievements |
ある特定の時期特異的に遺伝子発現を誘導する方法として、DD(Destabilizing Domain:不安定化ドメイン)システムがメダカで利用可能かどうかを検討した。DDを標的タンパク質と融合させることで、通常はプロテアソームによるタンパク質分解が起き、標的タンパク質が発現しない。この分解は、低分子化合物であるTMP(トリメトプリム)を投与することで阻害されることから、TMP依存にタンパク質の発現誘導が可能とされている。実験内容としては、幼若神経特異的に発現することが知られているHuC遺伝子のプロモーター下流に、DDを組み換えタンパク質であるCreと融合させたDDCreが発現する遺伝子組み換えメダカ(「HuC pro-DDCre」)を作成し、Cre依存的にDsRedの発現がGFPの発現へと切り替わる、「HuC pro-loxP-DsRed-loxP-GFP」と掛けあわせた。受精卵を「TMPあり」、または「TMPなし」で飼育したところ、「TMPあり」でのみ、脳におけるGFP発現が検出された。よって、メダカ脳においてTMP依存に遺伝子発現を誘導できる系が確立されたと考えられる。また、メダカ稚魚で遺伝子発現を誘導可能なTMPの濃度はこれまでのゼブラフィッシュでの報告とは異なることも明らかにした。最後に、DDにTeTX(テタヌストキシン。神経興奮を抑制)を融合したDDTeTXがHuCプロモーター下流で発現する「HuC pro-DDTeTX」のDNAコンストラクションが終了している。遺伝子組み換え個体の完成後、TMP依存の神経興奮抑制に伴う発生異常等が検出できれば、時期特異的神経興奮制御系の確立につながると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では、不安定化ドメインシステムを用いた薬剤依存の遺伝子発現調節法の確立は第一の目的としており、Shield-1を用いる方法と、TMPを用いる方法の二種類を試す予定でいた。そのうち、より安価な化学物質であるTMPを用いた方法が利用可能であること、その至適濃度を検証し、明らかにできたことは大きな進捗であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
HuC pro-DDTeTXメダカを作成し、TMP依存に神経興奮抑制に伴う脳発生異常を観察できるかを検証する。この系がワークした際には、配偶者防衛に関与することが明らかになっている遺伝子のプロモーター下流でDDTeTXが発現するメダカを作成する。
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Causes of Carryover |
2017年3月に北海道大学に異動となり、メダカを用いた実験をするために必要な機材や試薬を新たに揃える必要がでてきたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
メダカの受精卵にDNAやRNAをインジェクションをするために必要な機材一式が約100万円ほどする。また、メダカ受精卵を早く育てるためには気温を28℃に保つインキュベーターが必要であったり、飼育システムのメンテナンス用に物品を購入する必要があるので、それら必要な物品を購入する。
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