2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K18380
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
廣川 純也 同志社大学, 研究開発推進機構, 准教授 (40546470)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 光遺伝学 / 眼窩前頭皮質 / 腹側被蓋野 / 腹側線条体 / 意思決定 |
Outline of Annual Research Achievements |
前頭前野は皮質下への出力を通して動物の柔軟な意思決定を制御している。しかし前頭前野の個々の神経細胞で処理されたさまざまな情報がどのように下位の領域へ分配され行動が制御されるのかという神経回路レベルでの情報伝達の原則については理解されていない。本研究は光遺伝学的方法を用いて異なる領域に投射する前頭前皮質の細胞を光遺伝学的方法により同定した上で、その特定の投射細胞がどのような情報を持っているのかを明らかにする。具体的には、動物(ラット)が意志決定課題を行っている最中に、腹側線条体および腹側被蓋野に投射する眼窩前頭皮質の細胞の活動を記録し、それらの細胞が意志決定に関してそれぞれどのような情報を持っているのかを決定する。 初年度は、嗅覚刺激を用いた意思決定課題の動物訓練およびテトロード電極を用いた慢性ユニット記録方法を確立し、手始めに腹側線条体投射細胞の性質決定を行うことを目指した。匂い刺激弁別と報酬確率に基づく価値判断を組み合わせた意思決定行動課題はどの動物も予定通り短期間で学習することができ、慢性ユニット記録も収率がよく行動課題遂行中の神経活動を解析することにより、眼窩前頭皮質において意思決定の自信や報酬価値などの情報が符号されていることを確認した。さらにウイルスベクターの二重感染法により、腹側線条体へ投射する眼窩前頭皮質の細胞をチャネルロドプシンでラベルし、行動課題を開始する直前に青色光で刺激し活性化することでそれらを同定した。今後、これらの細胞の情報符号について詳細に決定し、さらに腹側被蓋野投射細胞との比較を行うことで眼窩前頭皮質から下位の脳部位への投射の情報伝達について明らかにする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
実験系の立ち上げが比較的スムーズにでき、パイロット実験により興味深い結果を得た。今後、データを取得し一般性を確認する。
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Strategy for Future Research Activity |
ウイルスベクターの感染効率が低く、実験データを効率的に得るためより感染効率の良いベクターを使用する。また複数の動物で同時に実験を行えるよう実験装置の複製を行う。
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Causes of Carryover |
購入予定であった消耗品の納品が期日に間に合わなくなりキャンセルしたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
消耗品に使用する。
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