2016 Fiscal Year Research-status Report
神経発達障害原因遺伝子MeCP2による神経細胞極性・軸索形成制御
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16K18391
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
辻村 啓太 名古屋大学, 医学系研究科, 特任助教 (60588474)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 軸索形成 / 突起伸長 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、これまでの研究により、すでにMeCP2がmiR-199aを介して神経細胞極性および軸索形成の主要制御因子であるGSK3ベータの発現を制御しうることを見いだしている。そのため、初年度平成28年度は、MeCP2/miR-199a/GSK3ベータ経路が神経細胞(ニューロン)の極性および軸索形成を制御することをin vitroおよびin vivoにおいて実証することを目指した。まず、in vitroマウス培養細胞において、MeCP2/miR-199a/GSK3ベータ経路による神経細胞軸索形成制御の立証を行うため、MeCP2、miR-199a、GSK3ベータを発現するレンチウイルスを作成し、培養ニューロンにレンチウイルスを感染させ、軸索形成を免疫染色により評価した。MeCP2、miR-199aの発現により、培養ニューロンの軸索形成が亢進された。一方で、GSK3ベータの発現により軸索形成は阻害された。また、in vivoマウス脳においてMeCP2/miR-199a/GSK3ベータ経路による神経細胞軸索形成制御の立証を行うため、子宮内エレクトロポレーション法により、マウス胎児脳内にMeCP2とmiR-199a、GSK3ベータの各因子の強制発現を行った。その後、免疫組織染色により、軸索伸長を評価した。その結果、in vivoマウス脳においてMeCP2およびmiR-199aの過剰発現ニューロンの軸索伸長が促進された。一方、GSK3ベータ過剰ニューロンにおいては、軸索伸長の減弱がみられた。これらの結果から、MeCP2、miR-199a、GSK3ベータが、in vitro培養ニューロン、およびin vivoマウス脳において軸索形成を制御することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は、in vitro培養ニューロン、およびin vivoマウス脳においてMeCP2、miR-199a、GSK3ベータが、軸索形成を制御することを示すことができた。in vitroだけでなく、in vivoにおいても上述の結果が得られたことから、本研究課題がおおむね順調に進展していると判断できる。レット症候群患者由来iPS細胞の入手準備も進んでおり、これらのことから本課題はおおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
in vitro培養ニューロン、およびin vivoマウス脳においてMeCP2、miR-199a、GSK3ベータが、軸索形成を制御することを示唆する結果が得られたため、平成29年度はレット症候群患者由来iPS細胞から誘導したニューロンにおいて同様の現象がみられるか検証を行う。また、MeCP2およびmiR-199aの下流で作用するGSK3ベータの機能や発現を操作することにより、レット症候群の表現型、すなわちMeCP2欠損マウスの表現型が改善するかどうかを検証していく。具体的には、GSK3ベータの阻害剤の投与、およびGSK3ベータ欠損マウスとの交配によりMeCP2欠損マウスの各種表現型が改善するかを評価する。これらの計画は、申請当初の研究計画であり、計画の変更は特になく、申請時の計画通りに進めていく。
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Causes of Carryover |
初年度のプロジェクト立ち上げに時間がかかり、実施していない実験が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
初年度に実施できなかった実験に適宜使用する。
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Research Products
(2 results)