2017 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of relationship between pathogenesis and ER stress sensor-derived small peptides produced in response to ER stress
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16K18395
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
松久 幸司 広島大学, 医歯薬保健学研究科(医), 寄附講座助教 (60735299)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 小胞体ストレス / 神経変性疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、小胞体ストレス依存的に細胞内で産生される小ペプチド(小胞体マイクロフラグメント)の物性や生物学的活性および神経変性疾患における発現様式や病態との関係性を解析することで、小胞体ストレスの発生から神経変性疾患の発症・病態形成に至る詳細な分子メカニズムを明らかにすることを目指している。平成29年度は、平成28年度に同定したBBF2H7由来小胞体マイクロフラグメントの配列を基に合成した人工ペプチドを用いてその物性および生物活性を検討した。その結果、1)BBF2H7由来小胞体マイクロフラグメントは凝集して直径10nmのアミロイド線維様構造を形成することを明らかにした。2)凝集したBBF2H7小胞体マイクロフラグメントが細胞毒性を発揮することを明らかにした。3)微量のBBF2H7由来小胞体マイクロフラグメントを単独では線維構造を形成しない濃度のアミロイドβ1-40に添加すると線維構造を形成したことから、BBF2H7由来小胞体マイクロフラグメントがアミロイドβよるアミロイド線維形成を促進することを明らかにした。 また、培養細胞系を用いた種々の検討から4)BBF2H7以外の小胞体ストレスセンサーであるOASISやATF6からも同様の小ペプチドが産生されることを明らかにした。5)BBF2H7由来小胞体マイクロフラグメントが内因性に産生され得ることを明らかにした。 以上のことからBBF2H7などの小胞体ストレスセンサー群から、小胞体ストレス依存的に凝集性の高い小ペプチド、小胞体マイクロフラグメントが産生されることを明らかにした。神経変性疾患発症において小胞体ストレスが生じていることから疾患発症時に小胞体マイクロフラグメントが産生されていると考えられ、当該分子が疾患の原因物質と言われているアミロイドβなどの凝集性物質と相互作用することで疾患発症・病態形成に関与する可能性が示唆される。
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