2017 Fiscal Year Annual Research Report
Establishment of gene transduction by adeno-associated virus in spermatogonial stem cells and testes
Project/Area Number |
16K18400
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
渡邉 哲史 京都大学, 医学研究科, 助教 (80769018)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 精巣 / 精子幹細胞 / GS細胞 / 遺伝子導入 / アデノ随伴ウイルス / 遺伝子治療 / 生殖細胞 / 不妊症 |
Outline of Annual Research Achievements |
アデノ随伴ウイルス(Adeno-associated virus)は様々な細胞種や組織に効率よく遺伝子導入できることが知られているが、生体精巣に導入した場合の標的細胞種は知られていなかった。本研究において、CAGプロモーターの制御下でmCherryを発現するAAVを、13種類の血清型についてそれぞれ作製した。これらのウイルスをそれぞれマウス精巣に導入した。導入方法は精細管内導入と精細管外導入の二通りを試した。AAV1,9-CAG-mCherryを導入した精巣でmCherryの強いシグナルが見られた。導入方法に関わらずセルトリ細胞及び精子幹細胞を含む生殖細胞にも効率よく感染することが分かった。この結果はAAV1,9は血液精巣関門および精細管基底膜を通過することを示すものだった。従来のウイルスベクターではこのような性質はなく、精細管外に導入しても精細管内の細胞(生殖細胞やセルトリ細胞)に感染させることはできなかった。AAVが精細管外導入で精子幹細胞に遺伝子導入ができる性質は、従来の遺伝子改変技術を簡便化および迅速化し、様々な動物種に適用される可能性を持つ。AAVがセルトリ細胞に感染する性質を利用して、不妊症モデルマウスの遺伝子治療実験を行った。正常遺伝子の発現を回復させると3か月後精子形成の回復が観察された。この精子から顕微授精により正常な子孫を得たことから、AAVが不妊症の遺伝子治療に利用できることが分かった。従来の導入法と比べ、遺伝毒性、免疫毒性の点で優れていることを明らかにした。また、技術的習練の必要のない精細管外導入でも治療効果が見られた。以上の結果から、AAVの従来のウイルスベクターと比較し顕著な優位性及び利便性が示され、Stem cell reports(2018, 10, 1-14)に筆頭著者として報告した。
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