2017 Fiscal Year Research-status Report
肝傷害誘導モデルマウスを用いたin vivoにける肝臓分化誘導法の確立
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16K18403
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Research Institution | Central Institute for Experimental Animals |
Principal Investigator |
樋口 裕一郎 公益財団法人実験動物中央研究所, 実験動物研究部, 研究員 (00596281)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | Afp-TKマウス / 胎仔肝 / Ex utero法 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウスαフェトプロテイン(Afp)プロモーター配列にHSVtk遺伝子をつなげたTgを構築し、新規肝臓形成不全マウス(Afp-TKマウス)を作製した。マウスゲノムへのTg挿入及び次世代へのTg伝達を3ラインで確認し、この3ラインについて、胎仔肝臓におけるHSVtk遺伝子の発現量を定量的RT-PCRによって解析した。結果、3ライン中2ラインが、TK-NOGマウス成体肝臓におけるHSVtk遺伝子の発現量と比較して、6割程度の発現量を示すことを確認した。そこでこの2ラインについて、妊娠中の母体にGCVを投与し、胎仔肝臓の形成不全を誘導できるか検証を行なった。胎生9.5日目の母体に100mg/kgBWでGCVを腹腔内投与し、胎生12.5日目にサクリファイスしたところ、いずれのラインでも肝臓の形成不全を示す胎仔を確認した。ジェノタイピグの結果、肝臓形成不全を示した胎仔はいずれもTg個体であり、特に一方のライン(S12)では雌雄に関係なく、安定して肝臓の形成不全を誘導できることを確認した。しかしながら、肝臓形成不全を誘導したTg胚は出生に至らず、胎生致死となることも確認された。これは肝臓の消失とともに、Afpを発現する胚体外組織(特に羊膜)への障害が原因であるものと推測された。そこでGCVの投与量と投与のタイミングについて詳細な検討を行い、胎生12.5日目に50mg/kgBWでGCVを腹腔内投与することにより、胎仔肝の肝芽細胞に障害を誘導した上で、胎生致死を回避できることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の鍵となる胎仔肝臓の形成不全を薬剤投与依存的に誘導できるマウスの開発に成功した。 今後はこのマウスを用いたin vivo分化誘導系の検証試験を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
胎仔肝形成不全を誘導した胎仔肝臓の補完を行う方法として、当初は胚盤胞補完を計画していた。この計画を変更し、胎生期の肝臓に細胞を移植することで補完を行えるか検証を進める。胎仔肝臓に細胞を移植するため、子宮外発生法(Ex utero法)の技術を導入する。その上で、まずマウス胎仔肝より単離した肝芽細胞を、胎仔肝形成不全を誘導したAfp-TKマウス胎仔に移植し、胎仔肝臓の補完を行えるか検証実験を行う。その結果を判断し、マウスやヒトのiPS細胞より作製した肝芽細胞による胎仔肝臓の補完の可能性について検討する。
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Causes of Carryover |
(理由) 必要物品の購入を行なった際に余剰金が発生した。 (使用計画) 消耗品の購入に充てる。
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