2016 Fiscal Year Research-status Report
悪性黒色腫の新規治療法を目指した転写因子SOX10の機能解析
Project/Area Number |
16K18413
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
横山 悟 富山大学, 和漢医薬学総合研究所, 助教 (90613498)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 悪性黒色腫 / PD-L1 / 転写因子 / SOX10 |
Outline of Annual Research Achievements |
悪性黒色腫は、日本でも近年増加傾向にある難治性の悪性腫瘍であり、化学療法・放射線治療が効きにくいことから、新規治療法の開発が重要である。最近、抗PD-1抗体を用いた新たな免疫療法により、PD-1のリガンドであるPD-L1を発現する悪性黒色腫患者において良好な成績を挙げていることが報告された(N Engl J Med, 2012)。しかし、その効果が限定的であり、特にPD-L1低発現の悪性黒色腫患者においては効果が見られないことから、PD-1のリガンド発現調節機構を理解することは非常に重要である。また、転写因子SOX10は、色素細胞の分化に重要であることが知られているが、その発現調節機構や悪性黒色腫における機能についての報告はほとんどない。 そこで「悪性黒色腫のがん微小環境における転写因子SOX10の機能」を明らかにし「SOX10の発現誘導による悪性黒色腫の新規治療法を提案すること」を最終目的に研究を行った。 平成28年度は、PD-L1の発現制御機構について解析を行い、AKT-STAT3経路が肺がんにおけるPD-L1の発現制御に重要であることを明らかにした。また、天然物化合物であるsaikosaponin Bがマウス悪性黒色腫細胞株の細胞死を誘導することを明らかにした。また、肺がんの転移抑制を目指した研究も行ない、p38に対する阻害剤が肺がん転移を抑制する可能性を示唆する結果も得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SOX10の機能解析を通じて、PD-L1の制御機構を明らかにするという目的は達成されていないが、肺がんにおけるPD-L1の発現制御機構の解析・天然物化合物による悪性黒色腫の細胞死の誘導など、十分な結果が得られていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もSOX10の機能解析を中心に、悪性黒色腫に対する新規治療法の提案を目指した研究を行っていく。
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Causes of Carryover |
特別な理由はない
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
計画通り進めていく
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