2016 Fiscal Year Research-status Report
日米の消化器癌を用いたmicrobiome解析とエピゲノム異常・免疫応答との関連
Project/Area Number |
16K18423
|
Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
三橋 慧 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (70772127)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 消化器癌 / microbiome / Fusobacterium |
Outline of Annual Research Achievements |
膵癌においては歯周病の原因菌と考えられている口腔内常在菌のPorphyromonas gingivalisがその発癌に関与することが近年、明らかとなり、その感染経路として血流や経胆道によるルート、あるいは消化管から逆行性に菌が膵組織へ到達する可能性が示唆されている。このように消化管癌だけでなく、膵癌におけるmicrobiomeの役割を明らかにすることは、その発癌メカニズムの解明だけでなく、サーベイランスや除菌治療など多岐にわたる分野において臨床応用可能と考えられる。そこで我々は関連施設から収集した283例の膵癌症例でFusobacterium属の解析を行った。その結果、膵癌組織においてもFusobacterium属がその9%で存在することが明らかとなり、その陽性群は陰性群と比べ予後不良であることも判明した。このように膵癌においてFusobacterium属は生物学的悪性度の指標となる可能性が示唆された。また膵癌組織でのFusobacterium属の報告は皆無であったため、その存在部位を明らかにするためにFISH法を施行。その結果、Fusobacterium属は膵癌組織の近傍の脂肪組織に認められることが明らかとなった
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
膵癌だけでなく様々な消化器癌を対象とした常在微生物群ゲノム(microbiome)解析が順調に進んでいるため
|
Strategy for Future Research Activity |
今回の検討でFusobacterium属は膵癌組織周囲の脂肪組織内に存在することが明らかとなった。またその陽性群は不良な生命予後との相関が認められたことからFusobacterium属が膵癌の生物学的悪性度に関与する可能性も示唆された。このように多症例の消化器癌を用いてゲノム解析で同定された微生物種とその分子異常、更に環境因子との関連を検討することは、将来的に膵癌の新たな予防法や診断・治療法に繋がる可能性があり、消化器癌の新たな治療戦略を世界に先駆けて報告できるものと思われる。よって膵癌におけるmicrobiome解析の更なる発展が期待される。
|
Causes of Carryover |
PCR関連の試薬が当初の予定よりも安価で購入することができたため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に当初の予定よりも多くのPCR関連試薬を購入予定。
|