2018 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the anti-cancer mechanism of statins and development of a new evaluation method to predict their anti-tumor effect
Project/Area Number |
16K18439
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
割田 克彦 鳥取大学, 農学部, 准教授 (40452669)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | スタチン / がん細胞 / 化学療法 / 薬効評価と予測 / 制がん効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
スタチンは、血中コレステロール値の低下作用以外に制がん効果を発揮することが知られており、とくに間葉系のがん細胞で強い効果を発揮することが報告されている。がん細胞は悪性度が増すにつれて上皮間葉転換(EMT)を起こし、E-cadherinが減少して間葉系様の性質を獲得することが古くから知られているが、EMTを起こした上皮系がん細胞のスタチン感受性の変化については明らかでない。本研究では、上皮系のがん細胞に形質転換増殖因子TGF-β1を作用させ、EMT誘導前後のスタチン感受性の変化について解析することを試みた。肺由来がん細胞株NCI-H322Mおよび卵巣由来がん細胞株OVCAR3を用いて血清飢餓培養を24時間行い、その後TGF-β1を培地に添加してさらに72時間培養した。EMT誘導の確認はEMTマーカーの遺伝子発現変化を確認することにより行った。EMTを誘導後、3~30 uMのスタチンを曝露し、72時間後の細胞数を対照群(EMT非誘導群)の細胞数で除した値を生存率とした。TGF-β1によってNCI-H322MおよびOVCAR3のEMTマーカー遺伝子が変動し、EMTが確実に誘導されたことを確認した。EMT非誘導群ではNCI-H322M、OVCAR3両細胞株ともにスタチンの曝露量が増すにつれて細胞生存率の低下がみられた。一方、EMT誘導群では細胞生存率の低下は起こらず、逆に耐性を示す結果となった。これまでの報告から、スタチンは間葉系のがん細胞に対しより強い効果を発揮することが知られているが、もともと上皮系のがん細胞がEMTを起こしても、スタチンの感受性が高まるわけではないと推察された。しかし、TGF-β1などのサイトカイン誘導性の上皮間葉転換は、薬剤耐性をもたらすことが報告されている。今後はTGF-β1以外の方法でもEMTを誘導し、がん細胞のスタチン感受性の変化を解析する必要がある。
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Research Products
(6 results)