2016 Fiscal Year Research-status Report
がん特異的なREICの構造を判別する薬効評価系の開発及びその構造と機能の評価
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16K18440
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
木下 理恵 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (40518297)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | REIC / がん抑制遺伝子 / 遺伝子治療 / モノクローナル抗体 / ELISA |
Outline of Annual Research Achievements |
REIC (Reduced expression immortalized cell)は、多岐にわたるがん種において発現が低下しており、がん抑制遺伝子として機能することが明らかとなっている。さらにREICの強い抗がん作用を利用したバイオ医薬品として、アデノウイルスを用いた遺伝子治療製剤(Ad-REIC)が開発され、前立腺がんを対象とした臨床試験が実施された。この治療をモニターする方法としてREICタンパク質の血中濃度の測定系を検討し、独自にエピトープが異なる12種類のモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体を整備し、それらを組み合わせたsandwich ELISA系を確立した。これら測定系を用いた前立腺がん患者の遺伝子治療前・治療後の血清の解析により、Ad-REIC投与後の血清においてREICタンパク質濃度の上昇を確認し、この測定系によりREICの遺伝子治療をモニター可能であることを示した。さらにこれらの解析結果から前立腺がん患者血清中には異なる構造のREICタンパク質が存在し、がんの状態によりそのタンパク質の比率が異なることが示唆された。この測定系の有効性を複数のがん種で検証するため、健常人10例の血清と肝がん患者10例、肺がん患者15例の未治療の血清を詳細に比較・検討し、前立腺がんだけではなく、他のがん種においてもこの測定系が適応可能であることを示した。REICは、多岐にわたるがん種において抗がん作用を示していることから、この測定系も複数種のがんで適応可能であり、REIC治療の薬効評価およびコンパニオン診断薬としての実用化が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Ad-REIC投与前・投与後の前立腺がん患者血清中のREICタンパク質濃度を測定することにより、REICの遺伝子治療をモニター可能であることを示した。さらに健常人10例の血清と肝がん患者10例、肺がん患者15例の未治療の血清を独自の抗体を用いたsandwich ELISA系で詳細に解析し、この測定系が前立腺がんだけではなく、複数のがん種に適応可能であることを示した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、血中におけるREICタンパク質の構造に着目し、血中から精製したREICタンパク質の糖鎖解析・REIC結合タンパク質の解析を行う。
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