2016 Fiscal Year Research-status Report
トランスレートーム解析による分子標的薬の効果予測因子の探索
Project/Area Number |
16K18444
|
Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
築茂 由則 国立医薬品食品衛生研究所, 遺伝子医薬部, 主任研究官 (40469630)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 分子標的薬 / EGFR / L858R / EGFR阻害薬 / ゲノム編集 |
Outline of Annual Research Achievements |
分子標的薬の効果予測やがんの悪性度、進行度のモニタリングが低侵襲な方法で可能となれば、検査時の身体的負担を大幅に軽減でき、体力が低下した高齢患者や再発患者にとっては特に大きな助けとなる。 代表的な分子標的薬であるEGFR阻害薬ゲフィチニブはEGFR活性化変異(del ex19、L858R)陽性の肺がん患者に高い治療効果を発揮するが、治療開始後1年ほどで多くのケースにおいてT790M耐性変異の獲得により治療抵抗性となることが知られている。 本研究ではL858R変異、L858R/T790M変異に依存して翻訳量が変化するmRNA群を網羅的に探索(トランスレートーム解析)することで、EGFR阻害薬への反応性を低侵襲な方法で把握するための新規バイオマーカーの同定を目指す。 既存の肺がん細胞株を比較に用いた場合、EGFRのコピー数、変異アレルのコピー数、その他の遺伝子変異などが原因でノイズが増えることが想定されたため、本研究では、ゲノム編集によりisogenicな変異細胞株を樹立することが初年度の目標となっていた。 初年度は、野生型EGFRを発現するA549細胞を用い、ゲノム編集によりL858R変異導入細胞株の作製を行った。変異特異的PCRにて1000クローンほどスクリーニングし、複数株のL858R変異導入株の樹立に成功した。細胞の生存率、EGFRリン酸化などを指標にEGFR阻害薬ゲフィチニブへの感受性を親株と比較したが、いずれの変異導入クローンも感受性となることが確認された。シスプラチン、タキソールなどの抗がん剤には親株と同レベルの感受性を示したことから、ゲフィチニブへの感受性変化はL858R変異導入によるものであることが強く示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、初年度の目標であったEGFR L858R変異導入細胞の樹立に成功した。樹立したL858R変異細胞株は親株に比べEGFR阻害薬ゲフィチニブやエルロチニブへ感受性化し、その他抗がん剤への感受性は親株と同レベルであったことから、目的変異導入の効果が薬剤感受性の結果に反映されていることが確認できた。また、自前で安価なノックイン細胞の樹立方法が確立できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
初年度に確立したノックイン細胞株樹立方法を用いて、同様にT790M変異導入細胞を作製する。その後、本研究の最終目標であるトランスレートーム解析を行い新規バイオマーカー同定を目指す。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由としては、消耗品の使用量が当初の予定よりも若干節約できた点があげられる。ただし、これは変異導入クローンの取得が想定よりも少ないスクリーニング量で済んだことによる。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額分については、新たに作製予定となっているT790M変異導入細胞株の樹立や、樹立した細胞株のメンテナンス費用、トランスレートーム解析で消費する予定である。
|
Research Products
(3 results)
-
-
-
[Journal Article] Control of embryonic stem cell self-renewal and differentiation via coordinated alternative splicing and translation of YY2.2016
Author(s)
Tahmasebi S, Jafarnejad SM, Tam IS, Gonatopoulos-Pournatzis T, Matta-Camacho E, Tsukumo Y, Yanagiya A, Li W, Atlasi Y, Caron M, Braunschweig U, Pearl D, Khoutorsky A, Gkogkas CG, Nadon R, Bourque G, Yang XJ, Tian B, Stunnenberg HG, Yamanaka Y, Blencowe BJ, Giguere V, Sonenberg N.
-
Journal Title
Proc Natl Acad Sci U S A
Volume: 113
Pages: 12360-12367
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research