2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development of therapeutic strategry breaking resistance to oxidative stress in glioma
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16K18454
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
土橋 賢司 九州大学, 大学病院, 助教 (20773675)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 脳腫瘍 / 酸化ストレス / xCT / グルタミン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究で、Epidermal growth factor receptor(EGFR、上皮成長因子受容体)高発現脳腫瘍(神経膠腫)では、細胞膜上のグルタミン酸・シスチンアンチポーターxCTを阻害することで、生存が抑制されることを明らかにした。引き続き、xCTの特性に着目した。xCTは細胞内にシスチンを取り込むかわりに、細胞外にグルタミン酸を排出するため、細胞外にはグルタミン酸が豊富な微小環境が形成されることが考えられる。実際に、xCT高発現の脳腫瘍細胞株を培養すると、xCT低発現の細胞株に比べ、メディウム中の高いグルタミン酸濃度の上昇を認めた。脳腫瘍では、グルタミン酸によって増殖や運動能が亢進することが知られている。一方、グルタミン酸受容体は。IonotropicとMetabotropictype に分類され、さらに、Ionotropic type はNMDA、AMPA、Kinate受容体に分かれる。実際にどの受容体が運動能亢進に寄与するか検討するために阻害剤を用いて検討した。AMPA受容体阻害剤は影響を与えない一方、NMDA受容体阻害剤によって脳腫瘍細胞の遊走が抑制された。このように、xCTを発現する腫瘍細胞では、グルタミン酸が豊富な微小環境が形成され、グルタミン酸が翻って腫瘍細胞のNMDA受容体に結合し、悪性形質の獲得に寄与することが示唆された。しかし、現段階では、限られた細胞株の実験であり、実際の神経膠腫全体の中でどのくらいの割合で今回の結果が当てはまるかなど検討が必要である。また、実際の生体内環境において、NMDA受容体阻害剤が神経膠腫の進展を抑制できるかも検討の必要がある。このように、アミノ酸の観点より腫瘍と微小環境の関係性、また最終的な腫瘍への影響を解明することは、新規治療法の開発につながる可能性がある。
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Research Products
(1 results)