2016 Fiscal Year Research-status Report
肺癌の個別化治療:HER2遺伝子変異毎の治療戦略開発
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16K18462
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
富沢 健二 近畿大学, 医学部, 講師 (10420100)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 原発性肺癌 / HER2遺伝子変異 / 薬剤感受性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、原発性肺癌において認められている複数のHER2遺伝子変異を細胞株に導入して、HER2阻害剤の感受性を検討し、変異毎の最適な阻害剤を明らかにすることである。まず、3つの挿入変異、YVMA776-779、G776VinsC, GSP780-783をBa/F3細胞(インターロイキン3依存性に増殖するマウスのproB細胞)に遺伝子導入しました。HER2に対してリン酸化阻害活性を有するアファチニブ、ラパチニブ、ネラチニブ、ダコミチニブ、ネガティブコントロールとしてEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(EGFR-TKI)のエルロチニブを用いた。また、EGFR-TKI耐性に対しても阻害活性を有する第3世代EGFR-TKIのオシメルチニブ(臨床使用されている)も用いた。 YVMA776-779、G776VinsCのBa/F3導入細胞株に対する阻害活性を測定した。IC50をアファチニブ、ラパチニブ、ネラチニブ、ダコミチニブ、エルロチニブ、オシメルチニブの順に記載する。 YVMA776-779(nM):4, 0.6, 107, 4140, 68 G776VinsC (nM):0.2, 30, 0.2, 0.2, 330, 3.8 ラパチニブは他のHER2阻害剤よりも阻害効果が低かった。また、オシメルチニブはHER2に対して阻害活性を示さないことが報告されているが、HER2変異に対して阻害活性を示した。変異特異的な効果を有している可能性がある。これは新しい知見であるが、さらなる検証を必要とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
3/31の時点で、GSP780-783の導入細胞が確立されていなかったが、導入終了している。さらに、過去の臨床試験で報告されているHER2変異についても追加導入した。現在、薬剤感受性試験を行っており、大幅な遅れではない。
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Strategy for Future Research Activity |
HER2遺伝子変異導入したBa/F3細胞株のに対する薬剤感受性試験では、既存の臨床使用または過去によく用いられている薬剤を使用した。しかし、現在の肺癌臨床において応用されていない。新たな薬剤の提案を行うため、現在臨床試験進行中(他癌腫を含む)におけるHER2阻害剤の効果を検証して、変異毎の至適薬剤を明らかにする。ついで、HER2遺伝子変異導入したBa/F3細胞をマウスの皮下に注射し、各種HER2阻害剤を投与して、腫瘍縮小効果を検証する。
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