2018 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of a novel PACMA compound as a candidate drug for ovarian cancer
Project/Area Number |
16K18468
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Research Institution | Kanagawa Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
室井 敦 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所), その他部局等, 技師・研究員 (60609402)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 卵巣がん / 分子標的治療薬 / 細胞死 |
Outline of Annual Research Achievements |
卵巣がんは年間に約10,000人の罹患が報告され、4,000人以上の患者が死亡する。早期発見が困難であることから発見時に既に進行していることが多く、約50%が進行がんとして発見される。そのため治療成績は芳しくない。主にパクリタキセルやプラチナ製剤による治療が標準化学療法として行われるが、進行卵巣がんの10年生存率は約10%とされる。本研究では、申請者らが新たに同定した卵巣がん細胞株に強い殺細胞効果を示す新規化合物PACMA-Xによる細胞死誘導メカニズムの解明を行うことで、本化合物の臨床応用に向けた情報収集を行っている。 これまでに、PACMA-Xを卵巣がん細胞株へ処理すると細胞内で活性酸素が産生され、これが細胞死の誘導に重要な役割を果たすことを明らかにしてきた。また、ビオチン化PACMA-Xを用いたPACMA-X結合タンパク質の探索から、Redox制御への関与が知られているProtein1を新たに同定した。Protein1において酸化還元に重要であると報告されているアミノ酸残基を変異させたところ、ビオチン化PACMA-Xとの結合能が失われたことから、Protein1が実際にPACMA-Xと結合することで細胞死へと繋がる活性酸素の産生に関与している可能性が高いと考えられる。更に、各種細胞死阻害剤の利用および顕微鏡観察、PACMA-X処理後の細胞におけるシグナル解析により、PACMA-Xががん分子標的治療薬によって一般的に誘導されるアポトーシスやネクローシスとは異なる様式の細胞死を誘導していることが明らかになった。これらの結果は、既存の治療薬に耐性を持つ症例を含め、PACMA-Xが卵巣がんに対する有効な治療薬となりうる可能性を示唆するものである。
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